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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

437 ◆2dC8hbcvNA:2006/08/20(日) 19:04:09
 あっと言う間に捕まって口を抑えられた。全力で振りきろうにも一対二では答えは見えていた。
数秒間身動きが出来なくなったかと思うと、首の後ろに容赦ない衝撃が走る。気は失わなかった
ものの目眩で抵抗出来なくなってしまう。
 ぐったりと項垂れて引きずられるままにされた先は使われていないスタジオだった。埃にまみれ
たカメラが様子を伺っている。
 二人組が設楽を投げつけるようにした。背中を壁に打ちつけ大きな咳が出て、荒い呼吸で訳も分
からず二人を見上げた。最初の一人が眉を寄せる。
「もう分かるでしょう?」
 悟らせるような口調。設楽には何も分からない。もう一人が吐き捨てる。
「知らないふりは無しですよ」
 本当に知らないのに答えられるはずもない。困惑を浮かべたが済みそうになかった。鳩尾を蹴飛
ばされて息が止まる。最初の一人が手を伸ばした。
「石をください」
 ソーダライトのことだろうか。ポケットから取り出す。
「やっぱり分かってるじゃないですか」
 正解のようだ。石を渡せば全てが終わるのだろう。どうでもいい存在だからあっさり渡していい
はずなのにためらった。娘の言葉が頭に響く。
「早くしてください」
 急かされても右手を開かなかった。内蔵が痛かったが無理やり立ち上がって相手を殴りつけた。
力は入らず形勢は逆転しない。立っているだけでも何かを吐き出しそうだ。


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