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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

434 ◆2dC8hbcvNA:2006/08/20(日) 19:02:54
 設楽がポケットに手を入れた。小銭を確認するためだったのだが、先程まであった存在が消えて
いることにも気づいた。そして一連の流れを思いだす。
「あ、日村さん、石返してよ」
 一瞬だけ空気が止まった。気づかなかった設楽は言葉を続けた。
「一応持ってないとさ」
 娘から貰ったものだ、無くしたといったら泣かれてしまうかもしれない。続けなくとも日村なら
悟ってくれるはずだ。予想通り、少しためらったようだったが、石は設楽のポケットに戻った。小
銭と一緒に小さな音を作っていた。



 仕事も仕事の後の付き合いも終えて帰宅する。既に深夜になってしまっていたので娘は寝ている
はずだったのだが、夜更かしをしているので叱って欲しいという妻の願いが待ちかまえていた。
 疲れてはいたが親としての義務だ。テレビに齧り付く娘の横に座る。
 娘はすぐに体の向きを変えた。奇妙な素直さだった。女の子の考えることは分からないなあ、設
楽は脳内でぼやく。
 素直なのは最初だけだった。相手が不貞腐れているせいで中々話は終わらない。さすがは自分の
娘というべきか、幼いにしても受け流すのが上手くて説得する糸口が見つからないのだ。
 大人相手の状況にシフトするために思考をまとめた。ポケットの辺りが暖かくなった気がした。
娘と視線を合わせれば二人だけの空間が広がったような感覚がある。
「いいか?」
「うん」


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