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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

411アンバランス 3/5:2006/05/19(金) 23:27:05
 竹山は、どこか力のない視線で土田を見詰めていた。ややあって、普段の彼らしくもない掠れた口調で呟く。
「全ての芸人が……黒に?」
「そう」
「皆、あの黒い欠片を植えつけられるって事ですか?」
「そうなるだろうね」
 土田は当然のように言い切った。あの黒い欠片がどのような影響を及ぼすか、知らないはずがないのに――その表情には、迷いも恐れも見えない。
 竹山は目を伏せ、ゆっくりと息を吐いた。この石を手に入れてから起こった様々な出来事――仲間だった者や敵だった者、それから何より大切な相方の事を思う。
 しばらくして竹山は顔を上げた。その視線はある決意を込めて、土田を見据えている。
「俺は……黒の力が、許せん」
 別段驚いた様子もなく、土田は視線を返す。
「中島を苦しめたあの欠片が許せん……」
 怒りに呼応して、ルビーが眩い光を放った。迷いを振り切るように握り締めた拳を、炎の熱が覆っていく。
「土田さんにそんな事言わす、黒の欠片が許せないんや!」
 竹山は地面を蹴り、拳を振り上げた。ゲートが開いてから閉じるまで、数瞬のタイムラグがある。そこに一撃を捻じ込むのは、不可能ではないはずだ。
 対する土田は――動かない。ただ、シルバーリングをはめた左の拳を、竹山の拳に合わせるように持ち上げただけだ。
 二つの拳が激突する。硬い衝撃と共に、火の粉が飛び散り空気を焦がした。
 立ち込めた熱気を、風がゆっくりと吹き散らしていく。竹山は、戸惑いの表情で土田を見ながら拳を下ろし――そして目を見開いた。


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