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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

406最弱同盟 6/6:2006/04/30(日) 21:59:11
 山本の言葉に嘘はなかったようで、その後すぐに三人は目的の店に辿り着くことが出来た。隠れ家の名に相応しく、普通ならなかなか立ち寄らないような場所にひっそりと立っている店だ。
 それぞれの席に腰を落ち着け、注文した料理と酒が運ばれてきたところで、鈴木が小言を言い始めた。
「山本君が無茶苦茶言ったせいで襲われる羽目になったんだからなー、ちょっとは反省してよ」
「いいじゃないですか、体動かした後の酒は美味いって言うでしょう」
「そういう問題じゃないだろー」
 鈴木と山本の間に不穏な空気が流れる。田中はほんの少し逡巡したが、結局石はポケットに収めたままにした。この後の展開を、田中は知っているからだ。
「まあ……確かに美味しいけどね、ここの店」
 仕方ないな、という表情で折れる鈴木。しかし、眼鏡の奥の瞳は少しだけ笑っていて、それが決して不快ではないことを示していた。
 それから三人は、共通の趣味などについて、お開きの時間が来るまで取り留めもなく話した。石についての話は誰もしようとしなかったし、田中も敢えて口に出そうとは思わなかった。
 自分達のような脇役が、白につくか黒につくかなんて、この争い全体から見れば、とても些細なことなのだろう。
 もしも自分に果たすべき役割があるとしたら、それは争いを厭うこと。戦いたくないと思い続けること。
 それはきっと、最弱の人間だけに許された特権なのだから。


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