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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
404
:
最弱同盟 4/6
:2006/04/30(日) 21:57:34
「とりあえず、このまま逃げよう」
鈴木は手近な電柱に手を掛けると後方へ押しやるようにした。反動で体は前方へと進む。
田中と山本もそれに倣うことにしたが、この空間にある程度馴れている鈴木と違い、彼らの空中遊泳はかなり危なっかしい。障害物に気をつけるのは勿論、力に巻き込まれて浮かび上がった小石にも気を遣わないと怪我をする羽目になるのだ。
それでもどうにか、走るより若干速いくらいの速度を出すことが出来た。
追手の集団はどうやら下っ端らしく、特殊な能力は使わずに直接掴み掛かってくる。しかし無重力空間では、徒手空拳はほとんどその威力を発揮しない。前列の若者達を軽くあしらっているうちに、少しずつ黒の集団との距離は開いていく。
「このまま振り切れれば……」
鈴木は、普段ならばほとんどかかない汗を拭い、力の源にもう一度意識を集中した。
意識的に広げた“領域”は、その分だけ体力の消耗を早めている。限界に達するまで、持ってあと一分。力を解けばあとは自分の足で逃げるしかないのだが、力を使い果たした鈴木に、果たしてそれだけの体力が残っているのか。
幸いなことに、集団は既に闇へ紛れる程度まで後退していた。今なら力を解いても大丈夫だろう、そう思ったその時、消耗しきったはずの集団から飛び出してくる者がいた。疲れを見せない、どころか短距離選手並の速度で、再び三人との距離を詰めてくる。
「まさかあれ、石の力なんじゃ」
下っ端ばかりの集団だと思っていたが、中には能力者が紛れ込んでいたのだ。その若手は無重力の“領域”相手に自分の能力で戦う方法を編み出していた。
身体能力の強化、それもかなりの下位クラスではあるが、今は彼らに追いつけるだけの脚力があればいい。そして彼の石はその目的を充分に果たした。
彼は3人と着かず離れずの距離を保ちながら、冷静に“領域”の範囲を見極める。そしてそのぎりぎり、体にまだ重力の残る地点で、彼は思いっ切り地面を踏み切った。
重力加速度の消えた“領域”内で、その男は前方斜め前へとそのままの速度で上昇する。その前方には、不慣れな無重力空間で不自由そうな山本がいた。
鈴木自身を“領域”の外へ出す事は出来ない、だからこそ必死に“領域”内へ留まろうとしているはずの山本を、そこから引き摺り出そうとしたのだ。
振り向いた山本は、慌てた様子で逃げようとする。しかし踏ん張りの利かない無重力空間では、高速で接近する物体を避けるのは難しい。男は山本の腕を掴み、“領域”の外側へ向け、強制的に加速させた。
しかし彼のこの目論見は、思わぬ展開を呼ぶ。
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