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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

359 ◆LHkv7KNmOw:2006/01/24(火) 15:21:17
さかのぼること数時間前。

「あ、携帯がない。」
と、気付いた時にはすっかり夜も更けてしまっていた。
何気なく携帯を取り出そうとポケットに手を突っ込んだ瞬間、いつもはあるはずの物が無いことが分かった。
記憶を掘り返す。確か、最後に使ったのは控え室の中だった筈だ。
踵を返し、もう一度建物の中に入る。
歩みは段々早くなり、何時しか走り出す程になっていた。
顔に少なからず焦りの色が見える。
それは、電話が掛けたいからとか、早く帰りたいからとかそういう理由ではなく。
彼は携帯にストラップとして自らの石、モスアゲートを取り付けていたのだ。
万が一例の、最近噂になっている『黒』とかいう奴らに拾われてしまっては、という考えが頭を過ぎる。
その嫌な予感を打ち消すように、頭を振る。
それに合わせて自慢のさらさらの髪の毛が宙を踊るが、決して乱れることは無かった。
控え室の扉を勢いよく開ける。
膝に手を置き、前屈みになって二、三度大きく呼吸し、唾を飲み込む。
中では相方である宮迫が本日何本目になるのか分からない煙草を吹かしながら雑誌を黙々と読んでいた。
ドアの音に少しだけ反応し、顔を上げるも、ちらりと蛍原に目線を向けただけで、再び雑誌を捲り始めた。

宮迫の後ろの方でガサゴソ、ガタン、と耳障りな音が小さな控え室の壁に反射し、響く。
「あれ〜……?」
と、蛍原の困ったような声が時折聞こえた。
宮迫は雑誌をテーブルの上に投げ置き、
「どないしたん。」
酷く面倒くさそうな口調ではあったが、やっと口を開いた。


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