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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

352名無しさん:2005/12/01(木) 22:41:33
顔は青ざめ、何かに怯えるようにしてヒロシは指を押さえる。
「落ち着いてくださいヒロシさん。指輪が外れないだけでしょ?大丈夫ですって…」
「俺思うんです。この石は俺の皮膚と同化しているんじゃないかって。…最近、断続的に指が痛むんですよ。」
「そんなまさか…」
背中を丸め、指を押さえながらうずくまるヒロシの姿は痛々しく、波田はかける言葉が見つからなかった。
やがて、ゆっくりと顔を上げたヒロシはその手をかざし、「見てください波田さん。」と力無く言った。
「俺の石、濁ってきてませんか?少しずつですけど…」
そう言われて見ても、波田の目にはそれはただ澄んだ美しい石にしか映らなかったし、
ヒロシと違い四六時中その石を眺めていたわけでは無かったので色の違いもよくわからなかった。
「考えすぎですよ。」
「…そうでしょうか。色が…変わってきている気がするんです。
 俺が最初にこの石を手にした時はもっと澄んでたのに…なんだか…怖いんです。俺、いつか黒の…!」
「ヒロシさん!」
しっかりしてください、そう言って波田はヒロシを諌めたが、ヒロシの顔色は優れない。
「ヒロシさんノイローゼなんじゃないですか?石の事考えるの止めた方がいいですよ。
 自分をしっかり持っていないと、石に呑まれてしまいますよ。」
「…そう、ですよね…」
「もうすぐ時間ですし、スタジオ行きましょう!仕事したら忘れますって!」
なるべく怯えさせないように肩に触れると、ヒロシが小さく震えているのがわかった。
「波田さん、もし…」
「はい?」
顔を上げたヒロシと、立ち上がった波田と目線がかち合う。

「俺がもしも、石に呑まれて暴走するような事があったら、
 黒側に回ってしまったら…、俺をこの石ごと斬って下さいね…」


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