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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
304
:
そして僕らは完全となる。 DLEARTMI#
:2005/08/18(木) 02:50:00
あの日。
考えてみれば、絶対に俺は阿部にとって嫌悪的な決断をしたんだと思う。
脅されて、それに怯えた俺の一方的な説得で無理やり納得させられて。
今日、あの二人を見ていて思った。
あの二人は頑なに、石を使おうとしなかった。
それがあの二人の中での決め事だったのか、それとも偶然だったのかはわからない。
でも、この石には人それぞれ使い方がある。
人を傷つけるため、仲間を助けるため、生活を楽しむため、不便を補うため。
俺はこの石を、人を傷つけるための道具として使うと決められた。
「お前はその石をどう使いたい?」
「吉田の為に使いたい」
「……………」
即答。
「この間も言ったけど、俺いなかったらお前死んじゃうじゃん。
俺ぁそんなの嫌だからさぁ」
「………本当にいい?」
「本当にいい」
「……そう」
そして、何事も無かったかのように歩いていく。
―――もう後戻りは出来ないんだよ
阿部の頭には、いつだか、吉田の呟いた言葉が頭にリフレインして、闇に沈んだ。
―――本当にごめん
先を歩く吉田に首を振った。
月明かりに照らされた石が黒い光を放ち、やがて消えた。
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