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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

303そして僕らは完全となる。 DLEARTMI#:2005/08/18(木) 02:47:42
「…ねぇ、待ったぁ?」
背後から聞えた声。
目を閉じたまま応える。
「…うん、まぁね」
立ち上がる。着いて来る足音。
「ちゃんとやっておいたから」
「……大丈夫だった?」
「ん?あ、全然大丈夫」
「……ごめんな」
吉田が俯く。阿部はゆるい笑顔で返す。
「まぁ気にすんなよ」
“明日、仕事が入ったんだけど”
吉田にそう言われて、わかった、と軽く返して昨日の今日。
力を使いすぎていても、弱音を吐く訳にはいかない。
一度しくじれば少なくとも、二人もろとも終わってしまうのだから。

「引き込むの?」
阿部がこちらの表情を伺う。
吉田はいつもの無表情よりも柔らかい無表情で返す。
「引き込む必要もない。
 自分から入ってくる、きっと」
「…ふぅん」
阿部は、頭に両手を回して話を聞く。
吉田は続けた。
「大村さんは石の能力の中で最も開けちゃいけない扉を開けちゃったんだ。
 申し訳ないけど、もう石の争いから逃げられない」
「あーあ。残念」
「残念だけじゃすまないかもしれない」
吉田が阿部に目もくれずに答える。
「大村さん、もともとは悪の力に富んだ石を授かったみたい。
 
それを黒として使おうと思ったら…」
そこまで言いかけて、口を閉ざした。

いい。いずれ分かる事だ。

阿部もそれ以上追求する事も無く、吉田の隣を無言で歩く。

「それよりさぁ吉田、俺が3時間前に買ったこのほかほかコロッケ食べる?」

「3時間前に買ったの?」

「うん」

「だったらもうほかほかじゃないよ」

「そっかぁ。そうだっけ?」

「なんで認めてから聞いてんの」

隣を歩きながら自分の意識がだんだんしっかりしてくるのがわかる。
口にこそ出さないが、阿部が俺に対して力を発動しているのだ。
何も言わない。
それが俺には怖い。
「阿部」
「んん?」
「…お前は本当にこっちでいいの?」
吉田が立ち止まる。
阿部はそれから2、3歩進んでから立ち止まり、振り返った。
「…どうして?今更」
「望んでないんだろ、こんな争い」
「うん」
「だったら黒にいるのは俺だけでいい、と思う」
苦しいのは俺だけで十分だ。


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