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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

300そして僕らは完全となる。 DLEARTMI#:2005/08/18(木) 02:35:58
吉田は血塗れた上着を階段に脱ぎ捨て、繁華街へ向かった。
鋭利になった殺意を抑えるには、それが一番良い。

包帯で隠した右手の傷口が、じんじん痛む。

「…………」

“嫌だ!!!!!”

彼がそう叫んだ瞬間、確実に彼の魂は石を呼び寄せ、体は淡く光った。
何も無かった空間に突如現れた亀裂――――時空の歪みは、俺の力をやすやすと吸収した。
その証拠に、大村を殺す為に放出した力は奴に届くことなく、しかし俺には確実な疲労感を与えた。
また、その時空の歪みは大村の力でありながら、奴は自分が発動した力の存在を知らなかった。
そして、俺にとっての最大の着目点は、
奴の呼び寄せた石の光に、明らかな『黒』の光を見出した事だった。
濁った、透明を阻む鈍いベール。
それがどういう事か。

繁華街を歩きながら、相方と待ち合わせたバス停で立ち止まる。

人通りの多い街にあるバス停は、たくさんの人が並び待っていた。
自分とは待つものが違うが、傍から見たら自分もバスを待っている事にされる。
列から一歩退き、レンガの花壇に腰掛ける。
人から離れたのは紛れも無く、血の匂いを悟られる事を危惧していたからだ。
足を組み、手を組んで目を閉じる。
人の雑踏が耳に馴染む。
自分の育っていく中で欠く事のなかった音だ。
「…………」
―――この雑踏に混じって、いっそ自分が流されてしまえばいいのに。
踏み込んでしまった弱さに眉を潜め、戻れない過去に強く目を瞑る。
自分は人を笑わせるはずなのに。 今はそれさえもできない。
殺しに手を掛けた人間の言葉を誰が笑うだろうか。
一体誰が。


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