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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

298そして僕らは完全となる。 DLEARTMI#:2005/08/18(木) 02:30:11
「……これは………」

戸惑ったような吉田の声。
俺は強く閉じた瞳をゆっくりと開けた。
…?
俺と吉田との間に存在する空中に入った、真っ黒な空洞―――時空の歪み。
何もない。ただの黒。無空間、というのだろうか。
端々に亀裂が走っており、この時空間のものではない事がわかる。
初めて見る、こんな光景。
それなのに、その光景は何となくしっくり来て。
無意識に俺が空洞に手を翳した、その瞬間。

バキッ…バキバキバキバキバキバキ!!!!!

耳を劈くような音に比例して、暗黒の亀裂が塞がっていく。
最後に、ひどく低い音がして亀裂が埋まったかと思うと、カツン、と何かが廊下に落ちた。
血で汚れた廊下に一際目立つ、眩い光。

「……石……」

………俺の、だ。

今までは、自分の中で二の次、三の次だったはずの石が、今は言い様が無いほどいとおしく思われ、
感覚の無いはずの右手が、知らず知らずにそれを握り締める。
腕を覆い滴る紅に勝るほどの、手から溢れる光。
「………石………」

―――ほとんどの奴が石に魅了されちまうんだって

―――その中の半分が、黒に転身するらしいぜ

だらしねぇなぁ、と笑っていた自分が心の中で砕けた。



正論だった。





ちくせう。


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