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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

266263:2005/08/08(月) 19:41:50
(よし)
心の中でガッツポーズ。きちんとゴールに入った。思い通り。
この胸がスカッとするような感覚が、学生時代から好きだった。
しかしそんな気分とは裏腹に、間抜けな音でボールはこの手に戻ってくる。
「・・・・・・。」
まぁ、無いよりマシだし、と気を取り直し、ふと相方のほうを見る。
彼女がスカーフ(正しくは、その下に隠れているペンダントの石)に触れると、赤い光が彼女を包む。
そして聞き慣れた口笛が高く長く響く。そのあとは、決まって鳥の羽音が聞こえてくるのだった。
――鳥を操る。空を飛ぶ以外に彼女が使うことができるもう一つの力。
(しずちゃんにピッタリだよなぁ)
ハトやスズメや、それから何かよく分からない鳥が、彼女の肩へ、頭へ、足元へ降り立つ。
そんな光景を耳で感じつつ、もう一度ボールをついて走り出した。
今度はゴールのふちに跳ね返り、外してしまう。残念。でも実をいうと、この感覚も嫌いではない。
「僕が近づいたら、逃げるかなぁ?」
ふいにそんな言葉が口をついて出た。
彼女が座っているベンチの向こうではスタッフが慌ただしく走り回っている。
もちろん今、彼女(と鳥たち)に近づいて見ようだなんて思いもしてないのだから、こんな質問に意味など無い。
なのに口に出したのは、向こうの騒がしさとこちらの静けさの落差が、嬉しくて堪らないからだろうか。


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