したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

255 ◆EI0jXP4Qlc:2005/07/27(水) 22:38:56

 ……。
 高倉は、久保に言う。
 「久保、お前も分かっているんだろう。あやめちゃんが、誰を望んでいるのか」
 「だめだ! あやめちゃんは、俺が、俺が守るんだ……。もう、辛い思いをさせたくないんだ」
 はっきり言って高倉には、今の久保があやめちゃんの所為でこんなことを口走っているのか、それとも、本人が心から強くそう思っているからなのかは、分からない。
 しかし、とにもかくにも、これ以上久保にあやめちゃんを持たせるわけにはいかない。

 growing,growing/i am growing now/

 高倉は、言った。
 「久保、聞こえているんだろ? あやめちゃんの声が。俺なんかより、よっぽど」
 久保は、震えている。
 「だけど、だけど……」
 「……久保、あの人にあやめちゃんを『帰そう』? お前が一番分かっているはずだ。 あやめちゃんが、なにを望んでいるのか」

 久保の腕の中でほのかに光る、黄色い女。
 着ていたテディベアでは足りないのか、それとももう飽きてしまったのか、大胆にも
 彼女は久保の腕の中でそのきぐるみを、ゆっくりと脱ぎ始めている。
 まるで、羽化するかのように。だけど、
 所詮は冬虫夏草。高倉は知っている。
 彼女にとって最高で最良の、本当の棲家が見つかったことを。
 久保は知っている。彼女にとって最高で最良の、本当の住処が自分ではないことを。

 久保は、本当に本当に名残惜しそうに、俯きながら知らない男に、あやめちゃんを、渡す。
 知らない男は強奪するように、久保からあやめちゃんを受け取った。

 決着は、一瞬でついた。

 久保と高倉は、瞬きをせず、その一部始終を目に焼き付けた。
 知らない男があやめちゃんを強く抱きしめた瞬間、あやめちゃんは急激に成長。驚いた知らない男が手を離す間もなく、あやめちゃんは知らない男の体の穴という穴から侵入。
 聞くのに絶えない音が、部屋中に広がり、知らない男の断末魔も、それに混ざる。
 そして、絶望的な時間が怒涛のように流れきった後、何事もなかったかのように、全てが元通りになる。
 知らない男が、目の前に横たえてそれ以上動かなくなったこと以外には……。


 それからしばらく経って。

 芸人仲間が久保に声を掛ける。
 「お前、そのドーゾーかなり気に入ってるみたいだな?」
 久保は笑いながら答える。
 「銅像じゃないよ」
 「お前ヤラしーな? 女の裸のドーゾー毎日手入れしやがって」
 「別にそんなんじゃないよ。それに、ドーゾーじゃないからね」
 「なんだ? じゃあ、石像か?」
 「近いね。ただの石像じゃないよ」
 「ん?」

 「生きてるんだ。彼女」

 立派に成長した彼女は、久保の芸人仲間に、満足げに素敵過ぎる笑みを浮かべて見せた。


 I just wanna do ya? yes,I am growing now...

でも、この話はもう終わり。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板