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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
254
:
◆EI0jXP4Qlc
:2005/07/27(水) 22:36:51
しかし、久保の視点からでは男の顔が見えなかった。
それなのに今ははっきりと見える。……どういうことだ。
リヴァース。
『その視線は知らない男としっかりと合っている。目が合っているのだ』。
まさか……。そんなはずが……。
プレイバック。
「……」
高倉が我に返ったとき、話はもう先に進んでいて、久保が怒声をあげていた。
「勝手なこと言うなよ! お前っ、あやめちゃんをあんなところに一人にして、あんなところに捨てるなんて酷い目にあわせて! それでなにを今更っ!」
知らない男は反論する。
「やっぱり、ぼくは『彼女』がいないとダメなんです! お願いですから、返してください!!」
いつの間にか知らない男の口調が感情的になっていた。加熱する二人の問答に、高倉は一人、冷めている。
高倉は、あやめちゃんを見た。こころなしか、あやめちゃんからテディベアが剥がれていってるような気がする。
――もう、テディベアでは不十分なのか。あやめちゃん。
高倉は心の中でそう尋ねる。すると、……。
高倉の冷えていた石が、更に冷えていき、凍え、それが手から腕へ、そして全身へと広がっていく。
……。
比較的、早送りの映像だった。
音声は無い。ただ、流れて、なにがあったのかを教えてくれるだけといった感じだ。
知らない男が、楽しそうに笑っていた。そんな映像が、しばらく続いた。
しかしそのうち、知らない男の顔が怒りや嫉妬で醜くゆがんでいく。次第にそれだけになる。
理由は知らないが、それは私にも分かるほどの恐怖と悲しさを感じさせた。
そしてとうとう、『私』は、殺された。納得のいかないようで、納得の結果だった。
しかし、『私』は再び目を開ける。身体は、動かない。喋ることもできないが、知覚はできた。
知らない男が『私』を愛おしそうに、満足そうに愛でていた。そのとき 『私』はまだ、この男が好きなのだと思った。
『私』は知らない男の期待に答えようと、『成長』することにした。近くに植物があればそれに寄生し、それがダメになれば、近くのゴキブリに寄生する。
別に何でも良いと思い、リモコン、CD、食器、枕、色々な所に寄生した。
結果、全部ダメにしてしまった。『私』はまた怒られると思い、そしてまた殺されるのだろうと思った。
しかし、今度は違った。……捨てられたのだ。
これは、納得行くようで納得できない結果だった。
そして、今ここにいる。『私』を見つけてくれた、久保。でもやっぱり『私』には、知らない男しかいない。
知らない男もそう言ったように、『私』も彼じゃないと、ダメなのだ。
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