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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

238 ◆EI0jXP4Qlc:2005/06/29(水) 21:33:30
昔、川原で見つけた綺麗な石を持ち帰ろうとして、止められたことがあった。
理由を聞いたところ、「こういう所にある石というのには魂が込められているから、
不用意に持ち帰ることはできないのだ」との事。
私は子どもながらに、普通に「汚いから持って帰るな」とでもいえば良いのに、と思ったものだ。
しかし、今になってその意味を知った気がする。
例えそれが、川原でなく、
ある日突然自分の目の前にあったものだったと、しても。


【ある冬虫夏草の話】[Will you marry me?]


 「へぇ、彼女できたんだ……」
 と、唐突な高倉の一言。独り言のようにも聞こえるが、
 「な、何でお前知ってるのっ?!」
久保をビビらせるには十分だったようだ。高倉は答えることもせず、手の中にある石に見入っていた。
 「ああ! また俺の過去勝手に見ただろ?!」
 「うん」
 「『うん』って……、やめろよなぁっマジで」
 「どうして」
 「どうしてって、プライバシーの侵害だからだよ」
 「大丈夫、なんか、調子悪いみたいだから……」
 「へぇ……お前でもそんなことあるんだね」
 「うん……」
 「って、それで納得すると思ったのかぁ?!」
 高倉は勢いよく掴みかかる久保をひらりとかわしつつも、石を凝視し続ける。器用な男だ。
 「うーん……」
 実際、高倉の石は調子が宜しくないようだった。いつもなら鮮明に見える映像が、今日はなんだか乱れている。音声も途切れ途切れ。
 「諦めろ。見るなという天のお告げだ」
 久保が無駄に殊勝な笑みを浮かべる。そんな彼に高倉は表情一つ変えずにこう尋ねる。
 「久保には天のお告げが聞こえるんだ?」
 「いや、聞こえないけど」
 「嘘はよくないぞ?」
 「お前なぁ……」
 久保は何かを諦めた。
 「久保、お前の石の調子はどうなんだ……って、お前は持ってなかったんだな」
 「うん、まぁ、な」
 「……ふーん」
 高倉は再び手の中の石を凝視する。未だに調子が悪いようだった。その様子を見た久保が声を上げる。
 「おまっ、俺が嘘付いてないかどうか過去をさかのぼろうとしてるな?!」
 「すごいなぁ、分かるもんなんだね。でも大丈夫。やっぱり、調子悪いみたい」
 「……」
 久保は何かを諦めた。本日二度目。
 「彼女、どんな人なの」
 高倉のその質問に、久保の顔が緩む。


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