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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

231 ◆8Y4t9xw7Nw:2005/06/25(土) 00:46:14
目を覆っていた右手を下ろすと、その指先を一瞬小さな闇色のオーラが包んだ。
今まで必死に抑え込んでいた力の奔流が、ほんの僅かに溢れ出る。
人を殺す事も容易に出来る、強力な破壊の力。
この黒い欠片というものの予想外の万能さには驚かされるが、その力を使いたくないと思う程度の良心はまだ残っている。
ただ、段々と自制が難しくなってきているのも事実だ。
もう隠し通すのも限界にきていた。その証拠に、今日は沸き上がる激情を完全に抑える事が出来ず、手加減なしで――しかも思い切り頭を狙って――殴り付けてしまったのだから。
気絶した彼女にとどめ止めを刺さなかったのが奇跡的にすら思える。
壊すのは、殺すのは、守る事よりも遥かに簡単だ。

――壊したい? それとも守りたい?

不意にそんな問いが脳裏に浮かんだが、一度目をきつく閉じて思考の外に追い出した。
考えたところで、まともな答えを出せそうにない。

何も気付くな、と思っていた。
早く気付いてくれ、とも。
壊したい、と。守りたい、と。
感情を持て余している聞き分けのない子供のようだと、心のどこかでは認めていて。
別のどこかでは、認める事を拒んでいる。
思わず口を滑らせたのも、山崎を気絶させながら止めを刺さなかったのも、まだ自分の心の中に迷いが残っているからだ。
思考は常に混沌と矛盾。あと少しで、境界線を踏み越えてしまいそうな。
そこを越えて衝動に身を任せてしまえばもう自分ではなくなると――そして、その方が余程楽だという事も――分かっていた。
一歩足を踏み出せば、あるいは一歩足を引けば、それで事足りる。


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