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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
230
:
名無しさん
:2005/06/25(土) 00:44:19
〜ひびわれたこころ〜
真冬の風は、服を着込んでいても染み入ってくるような気がする程に、冷たい。
赤信号の交差点で足を止め、山里はその風の冷たさに微かに身震いした。
深夜に近い時間だが、山里と同じように信号待ちをしている人間は決して少なくはない。
俯き、レンズに触れないよう気を付けながら、右目をそっと掌で覆う。
完全に黒い欠片に覆われたわけではないにも関わらず、その右目はもう何も映さなくなっていた。
なぜあの場所に黒い欠片の断片が落ちていたか――恐らくは、以前あの楽屋を使った芸人の中に『黒』の人間が居たのだろう。
急激に侵食してくる影に気付いたのがほんの二週間程前の事だった事を考えれば、目に入った小さな欠片はすぐに人に影響を及ぼす程の力は持たず、
自分が抱いた小さな負の感情を養分としながら少しづつ力を蓄えていったのだろうか。
空に映える真っ白な翼はいつだって余りに綺麗で、強く。
届かないと、追い付けないと思い知らされた。
余りに眩しくて。遠すぎて。
目に巣食った黒い欠片のせいでそう思ってしまったのか、それともその暗い感情が欠片を育ててしまったのか、それは分からないけれど。
負の感情を充分に吸い込んだ欠片は一気に育ち、視界――そして心――を覆い尽くした。
――美しい姿は醜く、笑い顔は泣き顔に映る、あべこべ鏡。
ふと脳裏に浮かんだその言葉。一瞬考えて、それが【雪の女王】に出てくる悪魔の作った鏡の事だと思い出す。
目に悪魔の作った鏡の破片が刺さってしまった少年・カイと、そのせいで人が変わり雪の女王に連れ去られてしまったカイを追う、幼馴染の少女・ゲルダの物語。
小さい頃に見た、随分と懐かしい童話だ。
あの話の結末はどうだっただろう。確か、ハッピーエンドだったと思うのだが。
(……あんな威圧感のある【ゲルダ】に迎えに来てもらうのは流石に遠慮したいなぁ……)
そう無意識に考えを廻らせてからカイとゲルダに自分たちを重ねている事に気付き、我ながらくだらない事を考えているな、と山里は心の中で苦笑した。
ただ――くだらない事と承知で例えるならば、この欠片は悪魔の鏡の破片と雪の女王、その両方の役割を持っているのだろう。
自分の心を変え、冷たい闇に引き寄せる負の力。
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