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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

207 ◆0K1u7zVO5w:2005/06/02(木) 17:46:59
「えっ!うそや?!」

慌ててポケットをまさぐる田村を見て、哲夫は半ば呆れて心の中で呟いた。
ばればれや。こいつあほちゃう。

カマかけに見事に引っかかりおった。
敵も味方もわからんこの状況で、そんな正直なリアクションしてどうすんねん。
とぼけるとか、シラをきるとかいうことが出来んのかお前は。
西田を見ると、同じ事を思ったのだろう、憮然としたような、それでいてどこか
間の抜けた顔をしていた。

田村はしばらく胸ポケットをまさぐっていたが、そこに石の感触を認めたのだろう、
安堵の息をついて、それから、西田と哲夫の顔を交互に見比べた。
顔にはありありと戸惑いの色が浮かんでいる。

――石はちゃんと、ここにある。
じゃあ、哲夫さんが持ってんのは、いったい何や?

「これ、落としてんで」

哲夫はかまわず、手のひらの中のものを田村におしつけた。
田村がじっくりと目をこらしてそれを見る。
白っぽい水晶に見えたそれは、淡いミルク色をした楕円形の飴玉だった。

「えっ、何ですかこれ?」
「何ですかって、飴ちゃんやん」
「・・・・・・俺こんなん落としてませんよ?」

戸惑ったような声のトーンから、田村が哲夫の真意を計りかねている様子が伝わってくる。

ただの偶然?いたずらか?それとも何かのメッセージなのか?
何の?信用したい。この人らを疑いたくない。
これ以上仲間の芸人が傷つけたり、傷つけられたりするのを見たくない。
だけど、自分の相方が傷つけられるのは、もっと見たくない。
どうしたらいい?ふたりは敵か?味方か?黒か?白か?

「あ、そうなん? ええから取っときーや」

 哲夫が半ば強引に飴玉を田村の手のひらににおしつける。
 田村しばし、自分の手に収まった飴玉と、哲夫の顔を見比べていたが、
 やがてひとつ礼をすると、楽屋のほうへ消えていった。


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