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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

206 ◆0K1u7zVO5w:2005/06/02(木) 17:44:17
「おはようございます」
「おはよお」

田村の様子は、どこかぎこちない。
こちらの目を見ようとせず、そわそわしていて、落ち着きがない。
本人は隠しているつもりでも、こちらに対して隠し事や猜疑心があるのが丸わかりだ。

(まぁこんな誰が敵か味方かわからんような状況やったら、人のこと疑うんも当然か)

哲夫は心の中で呟いた。
だが、疑うにしても田村のそれはあまりにもあからさまで、
その拙い様子がかえって憎む気になれない。
実際、田村という男に、猜疑心や隠し事という言葉は似つかわしくなかった。
実直、素直、単純、あほ。田村にはそういう言葉が似合う気がする。

「川島もう来とったで」
「あ、はい」

そそくさと楽屋に向かおうとする田村を見て、哲夫の心に、意地の悪い感情がわきあがってくる。
試してやろうか。
カマをかけておどかしてやろうか。

「たむらー、たむらー」
「はい?」

振り返った田村に、哲夫は手のひらを差し出した。

「落としもん」

哲夫の手のひらの中のものを見て、田村は全身を硬直させた。
開いた哲夫の手のひらの上には、白っぽい小さなかたまりが乗っていた。
小さなかたまり。白い、石のような。自分が持っている、あの石のような。


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