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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

198 ◆8Y4t9xw7Nw:2005/05/28(土) 03:22:03
〜ゆきぐもにおおわれたそら〜

楽屋のドアを開けると、相方は数十分前の自分のようにぼんやりした様子で窓の外を眺めているようだった。
どうやら雑誌を読み終わって時間を持て余しているらしい。
「ただいま」
「あ、しずちゃんおかえり〜」
出て行く時とは違い、山里は口元に笑みを浮かべて振り向いた。

(――あぁ、またや)

微かな違和感。ちくりと刺さる、小さな棘のような。
「随分長かったね〜。…何かあったの?」
無意識に、首元に手をやる。
「……ううん、何も」
先程の出来事を話そうかどうか一瞬迷ったあと、そう答えて楽屋に足を踏み入れた。なぜか、話しづらいと感じたのだ。
返答までに少し不自然な間が出来てしまったが、山里は大して気にも留めなかったらしい。
椅子に腰を下ろすと、山崎は隣に座る相方に気付かれないよう、こっそりと右膝に手を当てた。ズボンに隠れていて見えないが、
先程階段から滑り落ちた時に強打した膝には、湿布が貼られている。
足を引き摺ってしまう程の重傷ではないが、何しろ打撲傷というのは地味でありながらやたらと痛い。
だが今日の仕事はこれで終わりのはずだ。我慢出来ない程の怪我ではないのだから、泣き言ばかり言っていられない。
壁掛け時計を見てあと少しでスタッフが呼びに来る時間である事を確認し、山崎はそっと小さな溜息をついた。


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