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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
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:2005/03/28(月) 03:35:44
待ち時間が長い者同士、のんびりした性格がどことなく似ているという事もあってか、メンバーの中では山本と一番仲が良い。
こうやって一緒に待ち時間の暇潰しをする事もあるし、収録の帰りに山本を車で自宅まで送ったりする事もある。
けれど、どこか様子が変わった彼を見ているうちに、ふと不安になる。
自分は彼の事を、そして相方や仲間達の事をどれくらい知っているというのだろうか。
「・・・・・・あのさぁ、山本君」
「何ですか?」
「・・・・・・・いや、何でもないや。・・・・・・・あ、今度は将棋崩しする? 俺、そっちの方が得意なんだよね。ガキっぽい遊び方かもしんねぇけど」
ごまかすように笑いながら言うと、つられたように山本も笑みを零す。
盤上に駒を積み上げて山にしながら、鈴木はチラリと山本に視線を向けた。
番組特製のTシャツから伸びる腕は、折れそうな程に細い。
細いと言えば鈴木や板倉もそうなのだが、ジムに通って鍛えている鈴木や、自身の病弱さを自覚しているからかそれなりに鍛えるよう努力しているらしい板倉とは違い、山本の痩せ方は必要な部分も不要な部分も全部一緒くたにして削ぎ落としてしまったような印象を受けるものだ。
それでも以前よりは太ったらしいが、悩み事でもあるのか最近はむしろ昔よりやつれているように見える。
不健康そうな痩せ方だよなぁ、と余り血色の良くないその顔を見ながら心の中で呟いた鈴木は、視線を自分の足元にやった。
右足を少し動かすと、それまでジーンズの裾に隠れていた銀色のチェーンが顔を出す。
既に石を加工していたメンバーを除いて、お揃いで作ったアンクレット。
自分のアンクレットにはまっているのは、茶色や緑、赤など様々な色が交じり合った不思議な色合いの石だ。
太陽のエネルギーと共鳴して力を得ると言われている――――そして、重力を自在に操る異能の力を持った石。
銀色に輝くチェーンに視線を落としながら、鈴木はこの石の力を仲間との争いに使う日が来ない事を切に願った。
同時刻、スタジオで慌しく準備に追われるスタッフ達を見ながら、塚地は軽く溜息をついた。
次のコントを撮り終われば、後はエンディングを残すのみだ。
ただ、今塚地が気にしているのは撮影の終わりではない。
今日、スタジオにやってきてすぐの時点で、塚地は他のメンバーの様子が少しおかしい事に気付いていた。
それぞれ、何か悩んでいる様子だったり、なぜか疲れていたり、隠し切れない困惑が表情に浮かんでいたり。
その原因が石である事は、ほぼ間違いない。
だから、今彼が気にしているのは撮影の終わりではなく、石を手に入れた彼らがこれから一体どうしていくか――――『白』か、中立か、それとも――――という事だった。
そして、塚地がメンバーの変化にすぐ気付いたにも関わらず鈴木にそれを教えなかったのは――――出来れば気付いて欲しくなかったからだ。
苛々させられる事も多々あるけれど、石の力を巡る熾烈な争いの中で、呆れる程に純粋な鈴木の存在が救いになっている事も確かだったから。
信頼しているメンバーの変化に鈴木が傷付くかもしれない事が、少し恐かった。
(でも、いくらあいつでもそろそろ気付いてるか・・・・・・)
黙っていた事で文句を言われそうだが、仕方がないだろう。
沈黙で繕える程、この変化は穏やかなものではなかった。
そして、きっといつか――――
静かな、それでいて確かな予感に、塚地は酷く哀しげに眉を寄せた。
鈴木が一つ不思議な事に気付いたのは、積み上げられた駒の山に手を伸ばそうとしたその時だった。
(そういえば、今日は山本君が秋山君達と喋ってるとこ見てないな)
いつもならば必ず一度は楽しげに話しているところを見掛けるのだが。
(・・・・・・もしかして、ケンカでもしたのかな?)
いつもの三人の仲の良さを見ていると、そう簡単に仲違いするとは思えない。
ただ――――企画で秋山と馬場の故郷を訪れた時、ほんの少しだけ寂しげな表情で佇む山本の姿を見た事がある鈴木は、それがありえない事だとは言い切れなかった。
どんなに仲が良くても、ふとした瞬間に自分1人だけ幼馴染ではないという事実を痛感させられてしまうのだろうか。
秋山達が付き合いの長さに関係なく山本の事を大事だと思っているのは傍から見ても分かるし、もちろん山本自身もそれをよく分かっているはずなのだけれど。
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