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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
158
:
ロシアン・シュー </b><font color=#FF0000>(dkDoE4AQ)</font><b>
:2005/03/20(日) 13:46:44
「…藤田」
「なんだね、今更すいませんでしたは聞かねぇぞ」
「おまえになど謝るかバカモノ。…いや、そうじゃなくて」
大村がゆっくりとかざした手は、ピンと伸ばされたその人差し指で、一点を
指している。
その先を急いで追った藤田の目に映ったのは、ゆっくりと去ってゆく先輩の
背中。
肩越しにバイバイまたな、と手を振ってみせているのは山本。
そしてそのとなりで一緒に歩み去りながら、一瞬こちらを振り返って、口の
かたちだけで「喧嘩すんなよ」と言っているのは、樅野。…いや、樅野の幻覚。
幻覚と分かっていても驚くほど、すごくリアルだ。
そしてそうやって二人の並ぶすがたは、あまりに当たり前に思えるほど自然
で。
立ち去る先輩二人を見送りながら、いつしかさっきまでの喧嘩を忘れて、ぼ
んやりと藤田と大村は立ち尽くしている。
「…なぁ、おーむ」
「…あ?」
「別に俺らはバンドん時、ふつうに樅兄に会えるんだけどさ。たぶんルミネで
あの二人に会う確率だって高いんだろうけどさ」
目が潤んでくるのは何故だろう。
「なんか…二人並んでっと、すげぇあの背中がでっかく見えんな」
「…」
くせぇ、と笑いもせずに、大村は真顔のまま踵を返す。山本とは真逆の方向
に歩みを進め始める。
「なぁ、大村ってば」
その背中を追う藤田だが、顔はチラチラと反対方向に歩み去る先輩二人を見
ている。それを横目で確認して、大村は突然足を止めて。
「藤田、俺に“ハンパねぇ”かけてくれ」
「は?」
「いいからかけろよ。俺も、もう燃料切れ寸前だっつの」
「…大村、ハンパねぇ」
藤田が気の乗らぬまま呟く。これで大村の石も全快とはいかないが、それで
もあと一回使うぐらいは出来るだろう。手元に石を引き寄せて、握りこみ、胸
にくっつける。藤田が見よう見まねの様子で同じ体勢を取る。
「“ハイライト”やんぞ」
「え?え?」
「“ハイライト”だよ。いいな?せぇの」
一瞬先に、大村の石が淡いヒヨコ色の光を放った。『打ち合わせなしでも藤
田とのハイライト詠唱がハズれないように』成功率を上げたのだ。
そして、二人は声をそろえて、背後の山本に聞こえる程度の声量で。
「チャ・チャ・チャイルドマシーンの、ハイライトっ」
薄い緑と黄色の光に包まれながらそう言い放つと、脱兎のごとくその場を走
り去った。
あとに残された山本たちが、観客のカラス相手に、いったいどんなハイライ
トシーンを見せたのか、藤田たちに知る術はないが、それは山本だけが知って
いればいいことだと思って気にも留めなかった。
石の能力を最大限に使った疲労感を、飲み過ぎの二日酔いだということにす
り替えて、朝日に向かって二人は歩く。
「なぁ大村」
「なんだね」
差し当たっての藤田の関心事は、白のユニットにどうやって入ればいいのか
とか、黒のユニットにはどんな人がいるんだっけ、とかそういうことよりも。
「頼むからさ、ロシアンシューで俺がアタリ引くように石使うの、ヤメね
ぇ?」
大村が大きな声で笑い出してしまうようなそんなこと。
何があっても自分たちが自分たちでいられれば、それでいいと思った。
End.
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