[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
153
:
ロシアン・シュー </b><font color=#FF0000>(dkDoE4AQ)</font><b>
:2005/03/20(日) 13:39:11
大村は振り向かないまま、藤田の表情だけを観察している。騒がしいはずの
居酒屋の中で、自分たちを中心に半径1メートルだけがぽっかりと音を無くし
ているような感覚。腰にぶら下がった石が、自分の鼓動を表すように忙しなく
明滅しているのが感じ取れる。
「ライブ前のアレは、俺の石の能力や」
確かにそれは樅野の声。だが、振り向けばその瞬間から、樅野が白や黒のこ
ととは別に、“自分とは違う側”の存在になってしまうような気がして、大村
は振り向く意思すら見せずに問う。
「…なんで、あんなマネしたんすか」
別に、幻覚山崎にも、その操り手だったという樅野にも、身体的な攻撃を受
けたわけではない。ただし、幻覚と対峙した間、そしてその後、幻覚かどうか
判然としない藤田を前にした時、言いようのない恐怖が胸に拡がったことは事
実だ。それは精神的な攻撃とも言えた。
「…理由は、あんまりたいしたことでもないよ。…大村、怖かったやろ?」
「…」
背中越し、淡々と聞こえてくる樅野の言葉に、大村は応えない。否定も肯定
もしない。
「石の戦いをどこ吹く風、って白にも黒にも属さんことはできるよ。現に、そ
ういう立場を選んでる芸人もいっぱいおるはずや」
目のまえの藤田は、信じられないという顔で樅野を見ている。
「ただ、石の能力は千差万別。その戦いの途中で、今まで白か黒かなんてたい
して気にも留めてなかった相方まで信じられんようになる時は来る。相方が自
分と同じ考えなのか。実は自分はたった一人で戦ってるんじゃないか。そもそ
も、相方は本当に昨日まで隣にいた相方なのか。…疑いが生まれたら、なかな
か消えることはない」
「そのことを俺たちに教えてくれようとしたってことですか?」
「そんな優しい気持ちやったかな。どっちかっていうと、試したってのが正し
いかもしれない」
「俺たちを試して、あなたに何が残るんです、何か残りますか」
「何も残らんよ。何ひとつ、残ったらだめなんです」
謎掛けめいた返答にも、思い当たる節はある。
「樅野さんは、白っすか黒っすか」
ついに頭を抱えるようにして俯いてしまった藤田のアフロヘアーを眺めなが
ら、大村は今日二度目になる質問をぶつけた。この問いに、山崎の姿を借りた
樅野は白だと答えた。
「…知りたいか?」
「知りたいことがありすぎるんで、手近なとこから知りたいですね」
「俺は、おまえらは白に入るべきだと思ってる」
そんなことは訊いてない、と言おうとしたが、幻覚山崎の(ひいては操り手
である樅野の)せりふを思い出して、言葉を飲んだ。
――…『おまえは白か?』って訊く人もいるんじゃないんですか。
――いるね。
――そういう人は?
――うーん…黒から改心した人か、芸人辞めた人か?…もしくは、どっちかを
スパイしてる人。
あの台詞で樅野が言いたかったことは、石を巡る戦いを知った人間で、且つ
その戦いから身を引いた人物…『芸人を辞めた人間』は、石を封印することを
願う、ということなのではないか。だから今も、彼は自分たち二人を白のユニ
ットにいざなっている。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板