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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
63
:
佐川優希
◆EI0jXP4Qlc
:2005/06/24(金) 22:56:21
[title] アウトレットシアター#3
>>57-59
からの続き。結構長くなると思われます。
登場芸人について色々相談させていただきました。とにもかくにも読んで頂きたい。
閑話休題。いえ、この言葉を覚えたって言いたいだけです。
******
「まさか……」
青ざめた太田さんは一つの事実に気が付いた。
「お前ら、「黒い欠片」を、持っていないのか……?」
「なるほど、そういうことかぁ」
設楽が笑った。
「エメラルドを持っているのは……、田中さんだぁ」
まるで失くしたおもちゃを見つけた子供のように、無邪気な笑みを顔全体に湛えていた。
「空間を分断したのは、太田さん。なるほど、なるほどね! まんまと騙された!」
そして響く哄笑。この狂った空間に、よく似合う。
「おまっ、違うぞ! これをよく見てみろ! こっちがほんもんだ!」
と、太田さんが緑色の石を取り出すも、小林が放つ黒い線により、あっけなく破戒される。
「!」
小林は言う。
「最初田中さんがセンターマイクを振り回していたのは、体格の所為だと思っていましたが、どうやら、素手で触ることを、避けていたようですね」
まずい、小林が冷静さを取り戻してしまった。太田さんの集中力が途切れてきたのが原因だろう。
「そして舞台上の人間に触れた瞬間、私は黒い気配が消えるのを感じました。そしてそのまま私達に向ってきたのを見て、確信しましたよ。エメラルド、黒い欠片を破戒する力を持っているのは田中さんだと。それに太田さん。それが本当にエメラルドなら、もしくはそれが太田さんの石だとしても、わざわざ俺たちに見せびらかしたり、しませんよね」
設楽は言った。
「俺らを浄化して傷つけずに勝つ……、いい方法だったけど、残念でしたねぇ。俺たちが黒い欠片を持っていないというのは、本当に予想外だったでしょう」
ホント、予想外だった。つまり、この二人は、魂そのものが、黒く染まっているのだから。
「太田さん。貴方ももう限界のようだ。貴方は、この空間では常に先の物語を考え続けなければならない。考えられないのなら、ただの人。そこが、小林との大きな違いですね」
設楽は心底おかしそうに、両手を広げた。
「この状況では誰も来ないかなぁー……。本当にこのホールだけ分断されてるみたいだし。……自分が作った空間に自分が閉じ込められて窮地に陥るのって、屈辱ですよね。ゴシューショーサマ」
さっきの俺を真似て、設楽が皮肉を言うも、太田さんは反応しない。ホントに立ってるのがやっとのようだ。一回3分って自分で言っていたくせに。倍以上使いやがって。
「田中さんの腹部から、力を感じますね。さっきの漫才の内容は、ホントって事か」
小林が不愉快そうに顔をゆがめた。設楽は至って普通にこう提案する。
「じゃあさ、腹、切っちゃえばいいんじゃない? その黒曜石で」
見たところ、小林のその石の使いっぷりは伊達じゃない。俺の腹を割くことなど、容易だろう。
「やめろ……! ンなことしてみろボケ、ぶっ殺すぞ」
太田さんは力なくそう叫ぶ。空間の効果はまだ持続しているが、本人自体の物理的体力も限界らしい。いくら自分の思い通りに事が運ぶフィールドを作り出せるとは言え、本人がこうではダメなようだ。
「あーあ」
設楽は感情を込めず、そう呟いた。
小林が俺に照準を合わせる。その目は、冷たい。しかしその奥に、焼けるような物が見えた。
……ところで、俺はここで終わるのか? あっけないようで、そうでもないかもしれない。
「……仕方が、ないんです」
さっき設楽が散々口にしたその言葉を、今度は小林が呟く。
仕方がない、仕様がない。人の命は、それで片付くのか。
覚悟を決めた、そのときだった。
「あどでー、ぼくでえ〜」
という、なんともこっけいな声。俺はこの空間の空気が正常になったのを感じた。そしてその次の瞬間。
「――?!」
目の前にいたはずの小林が、いつの間にか吹っ飛んでいなくなっている。
俺は上半身を無理矢理起こして、入り口を見た。
見間違えようのない、恐ろしく特徴を持った二人。
片桐仁と、日村勇紀。
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