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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

629 ◆A4vkhzVPCM:2007/12/25(火) 13:00:25
はじめまして、新登場スレや能力スレで犬の心について書いていたものです。
ラバーガールの書き手さんと同じく、ずっと読み専で、かつ二次小説初挑戦なもので
不安な点が多々あります。皆様の意見を取り入れて、本スレに投下できるような作品や
連作を書けるようにしていきたいと思っております。石能力と合わせて、添削宜しくお願いいたします。



今日は何の日かと聞かれれば、天皇誕生日だと答える気で居たが、誰とも遭わなかったし電話もかかって来なかった。
午後三時だというのに部屋は薄暗くて、かといって照明を付ける気にもならずに、窓際に立ち尽くす押見は力無くカーテンを揺さぶった。
恨めしかったのだ。
誰が? もしくは、何が? 答えを出すつもりはなかった。ただ、敗者復活戦が行われる大井競馬場へ赴くだけの強靭な精神力を押見は持ち合わせていない。
野外会場では、音が篭らないという事を分かっていたからである。
自分を破った強者達を笑う声が、か弱く虚空に掻き消えるのを聞きたくなかった。
M-1だけがお笑いじゃないとか、公正さを疑って喜んでみたりとか、酸っぱい葡萄を引き合いに出すまでもない。

受動的にうな垂れると冷たい床が見えた。靴下を履こうかと考えた。
もういい加減、子どもじゃないんだから、誰に要請まれた事でもないのに、そんな嘲笑が頭の中で反響した。
意味も無く裸足でいるのは自尊心のためだと、皆にからかわれる度にいじらしい気持ちになる。
その瞬間、ああ、俺を翻弄したあいつも、俺より大分歳を下回るあいつも、今西日を背に受けて戦っているんだという悪い考えがよぎった。
嵐のような不快感。押見は大股で部屋を横切ると、小さくて赤色の、古ぼけたテレビを蹴飛ばした。
精密機器であるはずのその箱は思いのほか軽く、床にぶつかって鈍い音を立て、あっけなく横倒しになった。
しかし押見はテレビには目もくれず、さっきまでテレビが置いてあった黒色の台を見下ろした。
表面には細かい埃が溜まっていた。蹴打の衝撃で舞い上がった塵の粒子が、目線の高さまで上がってくる。
聖夜を控えたというのに、孤独で、負け犬で、何もかもが腹立たしい。押見はもう一度、今度はテレビ台の側面を、力いっぱい蹴たぐった。
ガサ、と重いものが擦れ合う音と共に、一層の埃が宙に繰り出した。
吸い込まないよう、息を止めた押見の目に、飛び込んでくるものがあった。

乳白色の三角形。

はじめは、取るに足らないゴミだろうと思った。ソファーの下や物置の隅などに、見覚えの無いゴミが落ちているのは珍しい事ではない。
だからこれも、いつか知らぬ間にテレビと台の隙間に潜り込んだ、正体の不明瞭なゴミだろうと、推測したのである。
触りたくなかった。箒とちり取りを持ってこよう、と思ったその時、掃き溜めと化したテレビ台の上でその三角が一つ二つ輝いている事に気が付いたのである。
半ば混濁する意識の中、押見はしゃがみこみ、ためらわずにそれを手にとった。
重量感が噂と直結する。

「石だ」


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