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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
59
:
佐川優希
◆EI0jXP4Qlc
:2005/06/23(木) 23:50:50
俺は箱を交わすのを止める。俺に向ってまっすぐに飛んできた箱は、俺の目の前でその形を崩し無数の線に変わり、そのまま離散、慣性の法則にしたがって明後日の方向へ飛んで行った。
今までこの空間に潜んでいた狂気が、目を醒ます。ここに在るありとあらゆる物を、喰らわんと、ゆっくりと、そのまぶたを開くんだ。
太田光の、静かな声。広い劇場に、静かに、気味悪く、染み渡る。
「現実の源泉を汲み取り、底の夢の膿を掻き回す。
世界の皮膚を引き剥がし、裏に返して不条理を包む。
現実は夢の中へ。悪夢を増長させ、虚構に希望を託し、
真実に絶望を塗る。
生まれいずる、私の狂気、具現化せよ。……白日夢(デイドリーム)」
太田さんがそういい終えた瞬間、醜いとしか表現できない音がどこからともなく劇場一杯にあふれ出す。設楽と小林は耐え切れなくなったのか、耳をふさいだ。
舞台上の人間たちは、途方もなく狂いだす。
だけど、俺は聞いた。世界が、裏返る音を。
「ちきしょぉ……! これか、これをっ! 狙っていたのか!」
設楽が苦しそうに悲痛に叫ぶ。太田さんは言った。
「いや、実際あんたら二人が来たときに、空間は分断していたさ。でもそれは飽くまで準備段階。こっからが本番だ」
太田光は、嗤う。
「さぁ、地獄を見せてあげよう」
俺はすぐさま狂いだした舞台上の人間につぎつぎとタッチしていった。彼らは意図も簡単に、崩れ落ち、おとなしくなる。
一通り落とした後、俺は標的を設楽と小林に移す。俺はすぐさま舞台から跳び下り、駆け足で彼らの元へと距離をつめていく。
この音に怯んでいる、そして尚且つ、小林はノートを手放している。
今が、絶好のチャンスだった。
「食らえ!」
俺は右手で小林の胸に、左手で設楽の胸にしっかりと触れた。
それを見て、太田さんはやったと思っただろう。俺も思った。
しかしだ、
世の中、そう上手くはいかない。非情すぎるんじゃあ、ないだろうか。
「なんで、だ」
俺が違和感を感じ、そう呟いた瞬間、手に激痛が走る。
「ぐあぁぁぁっ!」
俺は見事にのけぞり、そのまま後ろに倒れこんだ。
「おい! 田中ぁぁぁっ!」
上手く行くと思ったのに。俺はただそう思うしかなかった。
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