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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

58佐川優希 ◆EI0jXP4Qlc:2005/06/23(木) 23:45:23
 「ぶ、ば、バカって言ったら自分もバカなんだぞ!? バーカ!」
 席から立ち上がった設楽、俺たちと同じようなテンションでバカバカといい続ける。それを見かねた小林、
 「おいっ設楽っ!」
結構焦っているように見える。しかし、
 「小林、相手が爆笑問題だからって負けんじゃねえぞ! 一緒に言え! バーカっ!」
 「な、いえるわけな……バーカッ!」
 小林までもとうとう叫び始めた。暫し、良い年こいた大人の男共の、バカバカ合戦が続く。
 舞台の中心では俺らが、客席では設楽と小林が、そして舞台の両隅には花のない、生気の失せた若者たちが。
 これは、なんとも、面白い絵だろうな。誰かに見せてやりたいぐらいだ。
 ……まあ、不可能なのだが。
 するとここで、約一名、理性を取り戻す。
 ……小林だ。やはり、長くは続かない。小林が、設楽を諭す。
 「設楽、設楽!!」
 「な、なんだよっ」
 「この、シナリオどおりに進んでるんだ」
 と、小林は持っていたノートを設楽に見せる。設楽の能力はおおよそつかめたが、小林の能力は未だに分からなかった。だが、
 単純でトンチンカンな俺にも分かるのだろう。
 それもこれも全て……。
 「あたりまえだろう?! それがお前の能力じゃんか」
 「設楽!」
 はっとして設楽は下唇を噛む。小林は口元に手をやった。もう遅い。俺にもわかったのだ。完璧だろう。
 そしてこの二人、やはり俺なんかよりずっと頭がいいようで。
 「小林……、まさかお前……」
 「そうだ、俺の意思じゃない。書かされて、いるんだ。書かされて、そのとおりに事が運んでいる……」
 設楽と小林はほぼ同時に俺を睨みつけた。やっぱり、怖い。しかし、俺は虚勢を張った。
 「やぁっと、気づいたかぁ。でも遅すぎたね。もう俺たち、君たちの能力分かったし、分かったとしても、もうどうにもできないでしょ。どうやら、二人とも戦闘型じゃないみたいだからね。俺の作った空間に、まんまと嵌ったんだ」
 明らかに、設楽と小林が怒っているのが分かった。もうちょっとだ。ここで俺は止めを刺す。

 「自分が書いていると思い込んでいたシナリオが、実は他人が描いた物だって気が付いた時は、やっぱり屈辱だよね。ゴシューショーサマ」

そして俺は不細工な笑みを浮かべる。どうだ、こんな感じでいいのか。
 「モヤシっこかどうか、その目で確かめてみますか」
 小林は右手を前に出し、ゆっくりとその手を開く。手のひらの上に、黒く光った枠だけの立方体が浮かんでいた。
 「太田さん、俺、なんかいやな予感がするんだけど」
 「おぉ、奇遇だな。俺もだ」
 小林は、叫んだ。
 「持ってる石が一つとは限らねぇんだよ!!」
言い終えた直後、右手を振りかざし力任せにその立方体を俺らに向ってブン投げた。彼のイメージとはかけ離れた行動だったので流石の太田さんも面食らっている。
 「おいっ! もやしっ子じゃなかったのかっ?!」
 誰にでもなく、太田さんはそう叫ぶ。
 ついでにだ、
 「まだ、俺の力も、切れてないんですよ」
 舞台上の人間もゆらゆらと再び動き始める。おいおい、これじゃまさしくサイコキネシスじゃないか。
 どうやら二人とも感情が高まったことにより、エネルギーが増したらしい。大丈夫なのか、俺たち。
 向ってくる高速回転している箱。周りから攻めてくるゆらゆら人間。 絶体絶命。
 「おとなしくエメラルドを渡せ」
 ゆらゆら人間は太田さんに、飛び掛った。しかし、俺は飛んできた箱をかわすのに精一杯。交わしても交わしても飛んでくる。交わせるのが不思議なくらい。
 まるで、予定調和。
 そう、予定調和なんだ。


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