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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
519
:
廃墟病院
◆ubhTcKtmc.
:2006/11/17(金) 00:33:08
それはある日の、事だった。
人気のない公園に、ぶらぶらしている二人がいた。
収録も終わった後、マネージャーを待つ時間が余りブランコに座り込む。
爆笑問題の二人には、その椅子はかなり小さいようだった。―――子供用なのだから、仕方ないが。
「暇だな、田中」
つぶやいた太田の視線の先には、空がある。
もう昼とは言いがたい時間だが、かといって夕方ともいえない空だった。
金属同士がきしむ音がする。それよりも若干大きな声で、田中が同意した。
「そーだね」
余りに簡単な回答に、太田からため息が漏れた。こいつは芸人ではないのか。
「おまえさぁ・・・もっと、気は利かないわけ? 『じゃあ俺がケツにバラを踊るよ』とかさ、」
「踊るか! そんなもん。もっと別の例えはないのかよ」
太田は比較的真剣に言ったのだが、田中にはふざけているとしか捉えられなかったらしい。突っ込みを入れられた。
その声の後ろ側に、人の気配がした。
太田の視線は自然にそちらへ向く。気配の正体は、六人の男たちだった。年齢層で言えば、二十代前半から三十代後半だろうか。
その中から比較的若い、めがねを掛けた理知そうな男が歩み寄り尋ねた。
「爆笑問題の、・・・太田光さんと田中裕二さんですね?」
「さぁ?」
「太田さん、『さぁ?』じゃないの。・・・で、そうなんだけど、何の用?」
若干のボケや突込みを交える。そうでもしなければ、雰囲気が重ったるくて仕方がない。
「僕たちに・・・石を頂きたいなぁと思いまして」
「お前たちが石を持っているのはわかりきってるんだよ!」
「ちょ、おま、その態度・・・」
青年達の言葉は、余りに直接的かつ分かり易いものだった。勢いのまま、太田は怒鳴った。
「やらねぇよ、ばぁっか!!!」
「太田さん挑発しすぎ!」
それは、田中にとっては呆れる要素にしかならない。そのため息とともに、笑顔を顔面に貼り付けたような男が笑った。
「じゃあ、容赦は無用という事で・・・」
その言葉を聞いた青年は、よほど残念なのだろう、眉根を寄せた。
「残念ですが、そのようですね」
「イエーイ、これで俺たちも・・・えへへ」
子供のように、一人の青年が笑う。きっと、純粋に名誉を得たいのであろう。その純粋さを、『笑い』に転換してくれたら良いのに。
その中で、一人だけ黙っている男が居た。
「・・・・・・」
誰も気づいては居なかった。が、その男の顔色は、悪かった。
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