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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

499元金持ちピン芸人の話:2006/08/11(金) 11:15:38
スッと息を吸い込んでー

「チェケラー!虫たち行けーって言われて簡単に行くんかー、人に動かされるのは何も考えてない虫の脳の小ささ故です!」

この真面目な場面で普段やっているようなネタをやる中山。

「…真面目にやらないと…そいつらが襲ってきますよ!!」
「…んー、しばらくの間それは無いなあ」
「なっ、何を言って………?!」

虫たちを見た若手は驚いていた。
先ほど自分が命令した虫たちが動きを止めていたのだ。

「な、何を…」
「チェケラー!『な、何を…』!そう言われてすぐに教える奴いるかー、よく考えー」
「こ、このっ…!」

怒りをあらわに若手はすぐ近くにいる中山を掴もうとする。
しかし、体が思うように動かない。
頭の中は怒りのほかに何故、と言う疑問と能力がわからない恐怖でいっぱいであった。

「な、何で体が…動かせないんだ…!」
「チェケラー!普通気付けー、今石の取り合いしてるんだから石の力に決まってるだろうがー」

中山の手からオレンジの光がこぼれんばかりに輝く。
石の力を使っている証拠。

「くそっ…くそっ…!なめるなあーー!!僕は…僕は…有名になるんだーー!!!」
それはもはや声にもなっていない叫びだった。

「…あーあ」

確かに自分も売れたいと思ったときがあった。でも、気付いた。

売れるのが目標やない。

別に売れなくても、自分のネタを気に入ってくれた人が笑ってくれればそれでいい。

芸人に大切なのはその気持ちとちゃうんか?

この石の取り合いでそういうことを忘れた奴らを見ると腹が立つ。

だから、俺は自分に向かってくる奴はとにかく倒す。

白も黒も関係ないわ。

とにかく倒す。


ー虫もコイツも、そろそろ動くかなー

その通りだった。
若手が動くのと、虫たちが動き出すのは同時だった。
ザザザザザザザザ…………ッ!!!!
「消えろーーーー!!!!!」

アイツが動けへん間に帰ればよかったわ。
「…石が力を失えば虫も止まるか?」
うーん、やってみるしかないか。
ホンマ疲れてんのに。めんどくさっ。
時計をチラリと見る。まだ15分たってへんな。

「チェケラー!『なめるなあー』!お前は笑いの世界をなめてますからー、石でどうこうできる世界じゃないから。

…シーユーバイ」

そのツッコミを言った途端にその若手の表情がなくなった。
それと同時に石の輝きが消えー
若手の手の中から滑り落ち。
虫たちは止まりー
一斉にどこかへと散らばっていった。

それからどれぐらいたったのだろうか
「ふー…、危なかったわ…」
そう言うと手のひらの中の石を眺めた。
「自分の攻撃系じゃないから大変やわ…」

そうつぶやくと、地面に落ちている先ほどの若手の石を拾い。
家路へと向かうのだった…。

「この石はあとで田村さんにでも渡すか…。
あーあ、これでしばらくネタ作れへん」

あーあ、どないしよ。
この石のせいやで、まったく。

家につくまでそのつぶやきは止まらなかった…


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