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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

490here,there. ◆1En86u0G2k:2006/08/10(木) 15:19:46
 だからこれ使いたくないねん、首元で慌てたように揺れるセレナイトを恨みつつ
 いじめられっ子の代名詞「のび太」にも勝る切羽詰まった顔で、
 濱口は必死に黒の追っ手御一行と暗闇と脳内の稲川淳二から逃げ回った。
 ジャイアンがいっぱいおったらこんな感じになんねや。感心する余裕もすでにない。
 あかん、涙出てきた−
 いよいよ体力より先に精神がくじける頃。視界の先、路地の明るみから聞き覚えのある声が響く。

 「…飛んで!」

 鋭い声。彼の「ドラえもん」が何を意図したのか考える暇もなく、濱口はその指示に従った。
 目減りする精神力は一旦踏み止まってくれたらしい。こういう時単純な性格でよかったと思う。
 出口を塞ごうと車止めの方へ回りこむ数人の動きを横目にそのまままっすぐ走り、
 大きく息を吸い込んでもつれかけた両足を跳ね上げ、公園と道路を隔てた垣根を飛び越える。
 左足がわずかに葉を掠った。
 「あだっ、!」
 バランスを崩し、中途半端な飛び込み前転のような格好で地面に転がる。
 ぬるいアスファルトの感触でどうやら成功したことはわかったものの
急な動作で無理に伸びた腰や膝から、早くも痛覚が駆け上がってきた。
 (え、言われた通り、道に出たけど…、それからどうにもならへんのとちゃうか!?)
 背後に追いすがる人の気配はしっかり残っているし、こちらは気力を使い果たしたらしく動けない。
 痛みと街灯の眩しさ、それからこの後の悲惨な展開を予想して思わず固く目を閉じた。
 (…なんやねん!意味ないやんけ俺の大ジャンプ!)


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