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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

480 ◆vGygSyUEuw:2006/07/27(木) 18:20:50
「…どうすんの」
「どうするって」
とりあえず反射的にドアから逃げ出して、廊下をひた走る。
後ろから足音が聞こえるがもう振り返ってる暇もない。
弱っちい俺たちは既に二人して息も絶え絶えで、きっと着実にその距離は狭まってるだろう。
振り切ってしまえたら、近くの楽屋へ逃げ込めたなら、とは思うけれど。
「どうもできんよ」
「…そだね」
目下敵から逃げているにしては暢気な会話を打ち切って、半ば諦めてそれでも往生際悪く走る。
ああ、もっと若さと体力と運動能力があれば、なんて考えてる余裕もそろそろない。
廊下が果てしなく長く長く思えた。
運動会だったら倒れれば棄権させてくれるけど、今倒れたら確実に餌食だ。
隣でもう必死にめちゃくちゃ走ってる田中に、滑って転ぶなよ、と思う。
ああ、喉がひゅーひゅー言うし横腹も痛いし膝も痛いけど、
とにかくもうちょっと、走れ、俺!
「!」
健闘虚しく、角を曲がった所で遠く前方、廊下の端に二つの影を発見する。
…挟み撃ちか。ああ、終わりだな。
せめて殺されないことを祈ろうと心中で手を合わせかけた俺に、声がかかった。
「何やってんだあ、お前ら!」
察しろよ。
なんて言いたくなるようなことを言ったのは、インパルス板倉。
隣にいる男は、もちろん堤下だった。
と同時に後ろの気配もどんどん近づいてきてることが背中に伝わる殺気で分かって。
追われてる。
そう言おうとしてももう声にも出せなかったが、もう論より証拠だ。
こっちを追ってくるギラギラした目の男が、二人にも見えたことだろう。
どんどん近づく板倉の指から発された青い光が、ばちばちと自分たちの間をかすめていった。


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