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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

479 ◆vGygSyUEuw:2006/07/27(木) 18:20:04
「山根〜」
気の抜けるような上滑りした高い声で、田中が俺を呼んだ。
「なに」
「俺たちさあ、どうすんの」
「どうするって」
「白とか黒とかさあ」
「ああ、…田中はどうしたいんよ」
「どうしたい、って言われてもね〜」
「俺も一緒だって」
「…あっそ」
少し前に石を手に入れ、それに何やら弱いながらも不思議な力があると知って、
しかもそれを巡る同業者の戦いがあるそうだとかそういうガセのような話まで聞いて、
自分たちは身の振り方を決めかねていた。
どうやら、白と黒、というごくシンプルな対立があって、白はヒーロー、黒は悪の組織らしい。
大まかに言ってしまえばそういうことで、何も自分から悪の道へ進もうなどと考える人はごく少数だと思うのだけど、それだからか脅しや強制が黒の中では横行しているらしい。
伝え聞いた話をどこまで信用していいのかもよくわからないのだけど。
第一、そんなヒーローものの特撮みたいな話が本当に現実にあるんだろうか。
こんな疑問を抱く芸人は自分たち以外にも星の数ほどいて、だからこそそれは愚問なんだろうが。
「意味わかんないよね」
「…黒?白?」
「どっちも。もう白でいいんじゃないの」
「でも、戦うとかできないじゃん、俺ら」
「あー…」
能力は、二人とも似たりよったりで「沈静」だ。
争いごとがそこまで好きではない自分たちとしてはありがたい話だが、いざ面倒なことに巻き込まれた際に身を守れないのは辛い。
「いや、だからさ、白の人に助けてもらおうよ」
「え?」
「強い人の陰に隠れとけばだいじょぶでしょ」
「え、そんな単純なあ…」
「面倒なことに巻き込まれたくないし、白の方がまだ戦わんで済むと思うよ」
「…そうかな」
「そうそう」
田中を半ば強引に説き伏せて、そうと決まればくりぃむさんの所でも行こうか、と立ち上がりかけた俺たちに、言ってるそばから面倒なことが降りかかってきた。
がしゃーん。
鋭利な音が聞こえて思わず振り返った。
三階にある楽屋の窓から乱入してきた影は、さしずめ格好つけの怪人だろうか。


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