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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

455 ◆i.38Tmcw2g:2006/04/14(金) 10:07:19
「どけ、言うたやろ?」
「安…達さんっ!?」
こんなにも躊躇なく石を使われると思っていなかった。
油断していたとはいえ安達の力で呼吸もままならない綾部が見上げた彼の表情は完全な“無”だった。怒りを通り越した冷静さから生まれる“無”。まだ罵声をあげられた方が対処の使用があるのに。
石の力を発動させようと体を動かそうとはするが強い痺れがそれを許さない。
…殺される?
言い様のない恐怖と侵蝕し続ける体全体の麻痺を感じながら、ただどうする事も出来ず安達を睨み付ける。
しかし、安達はその表情を変えようとしない。
「何してんだよ」
何処からか現れた突然の来訪者を苦しいながら懸命に確認する。
そこには面倒臭そうに2人を見るハイキングウォーキング・松田の姿があった。
「松田さん」
「安達、もう止めとけ」
名を呼ばれ罰の悪そうな表情をしたかと思うと安達の石が光った。
それと同時に綾部の体から少しずつ麻痺が薄れていく。
「こんな事して…良いと思ってるんですか…?」
消えていく麻痺に安堵の表情を浮かべた綾部が喋りだした。
「貴方が黒…に…入ったのは…何のためで…す?」
麻痺が治り切らない口でそれでもなお、安達を挑発する。
「ボンに何かしたら…次は知らんからな」
「さぁ、どうで…しょうかね」
悪戯に含み笑いをする綾部を見やる。
なんとか体を起こしているが、すぐには反撃出来ないだろう。
「お疲れさん」
吐き捨てるように安達が労いの言葉をかけると松田と共にその場を離れていった。
綾部は2人を見送りいなくなったのを確認すると、階段の上の方を見上げる。
「マタキチー」
声を掛けると、いつもと変わらぬ様子でピース・又吉が顔を出した。
「佑ちゃん、大丈夫なん?」
「お前、もうちょい心配するとか駆け寄るとかしろよ」
自分のもとにのんびり歩いてくる又吉に呆れながらゆっくり体を動かす。
やっぱり…
「やって、安達さん手加減しとったやん」
又吉の言葉を聞き流しながら安達の顔が頭をよぎった。
…此処で完全に「黒」にしなければ、あの人は優しすぎる。
「マタキチ…行くぞ」
何かを決意したような綾部は又吉を連れルミネを後にした。


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