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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

454 ◆i.38Tmcw2g:2006/04/14(金) 10:05:09

舞台へと続く廊下はネタ合わせをする芸人の格好の練習場所だ。だが一歩、階段の踊り場へと足を運べば静けさに包まれる。

安達は先程見た伝兵の驚愕した表情につい苦笑しながら煙草をポケットから取り出した。

もう…自分は戻れない場所まで来てる。

煙草に火を点けようとライターに手を伸ばす。
「何してるんすか?」
その静けさには相容れない明るい声に安達は刹那、振り向くのを躊躇った。
「折角、デンペーさんの石を奪う良いチャンスだったのに」
いつも芝居がかった様な話し方に胡散臭さを思わせるピース・綾部の姿が視界に入る。
ライターも煙草もぶっきら棒にポケットへ押し戻した。
「何であんな絶好のチャンス手放しちゃったんです?」
相方のボンより大きいにしても、やはり自分より15センチは小さい綾部を見下ろす。
「どけ、邪魔や」
屈託のない笑顔に退くよう言ってはみるが、一筋縄で行かないのがこの男の特徴らしい。
「その言い草はないでしょう…“黒”の自覚、足りないんじゃないんですか?」
「どけ言うてるやろ」
聞く耳を持たない安達の対応に綾部の眉間にも皺が寄る。呼応するかのように互いの持つ石が淡い光を放ちだした。
いくら黒同士と言えど白とは違う。話して分からないのなら力ずくでも。それが黒のやり方だ。安達もそれは十分理解している。
だが、自分には自分のやり方がある。指図を受ける気は毛頭ない。
「やっぱり、この件は溝黒さんに任せた方が良いんですかね?」
「どけ」
綾部の脅しとも取れる挑発。相方の名に反応しつつも無視を決め込んだ安達。
「黒は確実に役に立つ人材を求めてるし、貴方の様に中途半端な黒は不安材料でしかないんです…よ…っ!?」
言い切る前に綾部が胸元を強く押さえる。
石の力と気付いた時には遅く、地面に引き寄せられるように崩れ落ちた。


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