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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
443
:
[バカルディ・ブラックラム(side:三村)]
◆yPCidWtUuM
:2006/04/06(木) 03:26:44
正月特番に呼んでもらえて、しかも撮りだめするだけの仕事があって。
少し前まではそんなことありえなかった。徐々に状況は好転し始めている。
あれからたったの3年で、俺と大竹をとりまくものは随分と変化した。
「冬なのにっ、「「さまぁ〜ず!」」
このつかみの台詞とポーズ、一体この冬、何度使っただろう。
とっくに三十代に突入して、芸歴も若手とは言いきれなくなってきたってのに、この調子だ。
まあでも、それはそれで悪くない。そう思えるようになってきた。
長年親しんできたコンビ名が変わってしまって、それを定着させるのに今は必死だ。
ピンでの仕事も多いけれど、少しずつ俺の後ろに控えている大竹が見えるようになればいい。
わずかずつでも、上へ昇るための細い糸をたぐり寄せられるなら、それでいいから。
あのとき、黒を選んで、虫入り琥珀を手放した。
それは決して間違った選択ではなかったと今なら思える。
ここまで来る間に、同業者を襲撃するようなめんどくさいことも何度かやったけれど。
それでもきっと、自分たちの本来の力を純粋に評価される場所に立ち得たことは幸せなことなのだ。
大竹がいて、フローライトがあって、それでこの世界に生きている。
それに不満はひとつもない。ただ、まだ上があると思う。
「アレ」をとる日はまだ遠い。一生来ないかもしれない。それでもひとつひとつ昇っていく。
そんなのも悪くない…、と誰にも聞こえぬように呟いて、もう一度目をつむった。
視界が暗くなり、ぼんやりとした意識がどこかへ連れていかれる。
…おい、聞こえるか?
おいお前、コラッ!
あ、寝やがったチクショウ…
…遠くから何か声が聞こえるような気がしたけれど、捉える前に意識を失った。
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