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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
442
:
[バカルディ・ブラックラム(side:三村)]
◆yPCidWtUuM
:2006/04/06(木) 03:26:01
「あー、背中痛ぇ…」
寝ぼけ眼をこすりながら伸びをして起き上がる。
ロケバスのシートは身体をゆったり沈めるにはあまりにも小さい。
ばりばり言う身体をほぐすついでに少し後ろを振り向けば、大竹がうつむいて舟をこいでいた。
ああ、大竹も疲れてる。俺も疲れてるけど。
次の収録は何だったっけ、聞こうかと思ったが何となくやめる。
少し離れて座るマネージャーにスケジュールを問うには、結構な大声を出さねばならない。
眠っている相方を起こすのはどうにも忍びなかった。
窓の外の、流れる風景に目をやる。見覚えのある看板がひとつふたつあった。
ここから収録をおこなうスタジオまであと恐らく15分というところだろう。
何だか退屈してしまって、横の座席に置いてあったペットボトルに手をのばす。
雑誌も待ち時間にほとんど目を通してしまったし、やることがない。
何とはなしにポケットの中で石に触れて、握りこんでみる。
手のひらから何か、流れこんでくるような感覚。
最近よく感じるけれど、うまく核心を捉えることができないままでいる。
何かが伝わってきそうになるのだけれど、それをどうとり込めばいいのかがまだわからない。
いい加減この石とのつきあいも長いけれど、全てはまだ理解していないんだろう。
そっと手の中に包み込んだ石をのぞきこんでみた。
緑、紫、白。色の流れが混じりあい、透明な部分と半透明な部分がまだらになって光る。
いわゆる宝石のような輝きはないけれど、やわらかく落ち着く淡い光。
この石の光は何一つ変わらない、あの頃からずっと。
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