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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

430 ◆9BU3P9Yzo.:2006/03/30(木) 18:14:06
「篠宮?」
兼光が携帯を持ったまま近寄り、軽く相手の前で手を振った次の瞬間。
「兼光!」
相方の声に振り向くとそのまま後方に倒れこんだ。
「…っ!?」
あまりの速さに物事を理解できずにいたが、頬を切る風と殴られた痛みに自分が『攻撃された』事実をぼんやりと飲み込む。そして違和感。
「あれ…」
「だいじょ…おま、携帯!」
携帯につけていたはずの緑色の石─パイモルファイト─がなくなっている。駆け寄った岩橋に指摘されようやく視線を移し、殴られた反動でぐらぐらとする頭をゆっくりと篠宮に向ける。
その視線に気づくと篠宮はにっこりと微笑んだ。
「これっすか、兼光さんの石」
ふーん、とさして興味なさそうに石を眺めるとそのまま握りこみポケットにしまう。一歩ずつ、歩みながら、ひどくゆっくりとした動きで右手をかざした。

「俺の石の方が、キレイや」
喉元で笑うと一瞬石が光り、二人が瞬きをした瞬間姿は消えた。
「あ…あれ…?」
「どこ行ったんや…」
ざわざわと嫌な風に吹かれながら、岩橋は自身の携帯から石を外し、用心のため握りこむ。幾層にも重なる褐色が鈍く光りながら熱を持つ。
石同士が共鳴しているという事は、近くにいるのだろうか。
「ったく、アホちゃうか?なんでわざわざ石見せとんねん」
「なんでや、故意に見せたわけやなし」
「言うても取られとるやん、力使えへんやん、能無しやん」
「怪我しとる相方にそこまでいうか」
今にも喧嘩に発展しそうな会話をしながら、無意識に背中合わせに立ち上がる。まるでそこだけを切り取られたかのように、しんと静まり返るホームで、どこから攻撃がくるかわからない状態で、二人はただ息を潜めるしかなかった。
「でも…」


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