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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
426
:
oct
◆ksdkDoE4AQ
:2006/03/14(火) 22:21:05
(さっきの角度…)
切り替わった角度の時、三好の後ろ姿が見えた。それだけではない。その先に見えたのは…。
(…俺?)
そうだ。飛び上がった三好の向こうにいたのは、吉野自身。
更に、見間違いでなければ吉野の顔は、吉野の視点と目を合わせてニヤリと笑った。ややこ
しいことだが、「吉野の目」がどこかに移り、「吉野の顔をした何か」と目が合った…と云う
べきだろうか。
立ち上がって辺りを見渡し、位置関係を確かめる。間違いない。
吉野。吉野の隣に今仁。少し離れてこちらを睨む三好。更に向こうにいる…田中。
三好の背中を見られるのは、田中だけだ。
(田中と俺が入れ替わった?)
そこまで考えた時に、吉野と目が合った田中がニヤリと笑った。それはまさしく、「吉野の
顔をした何か」と同じ表情。
「大体、おまえ、三好の足技ぐらい避けろよ。ぼーっと立ち尽くしちゃって」
今仁の台詞も、吉野の考えたことを証明している。間違いない。
「今仁。俺、分かった」
「あ?」
「田中の石の能力が分かった」
じりじりとオキシジェンから後退りながらも、吉野はにやにやとした笑いを失わない。怪訝
そうに眉を寄せる今仁のシャツの背中をひっぱり、吉野が口早に耳打ちする。
「俺と田中の体の中味が入れ替わった。一瞬だけ、田中と視界が入れ替わったんだよ。体の感
覚も、田中のもんだった。そういう能力」
吉野の考えた通り、田中の石の能力は、誰かと体の中味を入れ替える、というものだ。ネタ
の中で何度も三好の技に対する受け身を練習している田中ならば、三好の技を効果的に受ける
術も分かっているということ。避けようとする人物の体を田中が一瞬乗っ取ることで、確実に
三好が技を仕掛けられる…そういうコンビネーション。
吉野の説明で理解できたらしい今仁は、少し考えて「あぁ」と声を漏らす。
「吉野。それなら、お前の石使えば一発じゃん」
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