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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

405 ◆9BU3P9Yzo.:2006/03/09(木) 16:43:38
オジオズ編、本編です・

言い逃れるつもりもない。ただ、それがそこにある真実。

Corpse Hero /ver.01

ざわついた楽屋で、きらりと光る石に目をやる。
黄緑が映える、黒の装飾。気になって石の事を調べた俺は、あまりにも自分に似合いすぎる石に優越感を隠すことはできなかった。
力をつかったことはないが、きっと正義のヒーローのように強くなれるんだろう。この中の誰よりも。いや、石を持つ誰よりも。
笑い出したい気持ちを抑えながら台本に目をやり、自身の出番を確認する。
「篠宮くん」
視線をあげれば丸い顔に眼鏡、美人ではないが愛嬌のある顔─ハリセンボンの近藤春奈─が微笑んでいた。
「あっちにね、差し入れのお菓子あるから、みんなで食べないかって」
指差す先のテーブルに、言われたようにたくさんのお菓子が並んでいる。外見に似合わずよく気を配る彼女は、一人でいる人を見ていられないのだろうか。
そんなことを思いながらもひとつ頷き、軽く片手をあげ相手を制した。
「今はええわ。後でな」
短く答えると、近藤はそう、とだけ呟いてまたいつもの輪に入っていく。
にぎやかしく楽屋で輪をなす「吉本」という繋がりに思わず視線を向ける。
10カラット内での吉本のメンバーは、オリエンタルラジオ、バッドボーイズ、ハリセンボン、コンマニセンチ、アームストロング、プラスマイナス…過半数を占めている。
他所属だから馴染めない、というのは少し子供じみてるだろう。現に自分の相方の高松はすんなりとあの輪に入れるし。
何か欠けているのは俺だけかもしれない。
じわり、と石が熱を持つのに気づく。負の感情を吸い取り、喜んでいるようだ。

あの日「黒い意志」に飲み込まれた俺は、話に聞いていたように「のっとられる」でも「暴走する」でもなく、ただ単純に、ひどく素直に「順応」していた。
頭が割れるような頭痛も、のどを焼くような吐き気もなく、むしろ目覚めてからは怖いくらいに体調も気分もよくて、不思議に思っていた。
ただ確実な変化もある。
───地の底から湧き上がるような悪意。
ああ、きっとこれに負けたやつが暴走したりのっとられたりするんだ、なんて納得しながら、自分の石を見る。
フィロモープライトは心の強さを表すらしい。
正義のヒーローにはうってつけの石。この石が自分を選んだ理由もよくわかる。
自身の意思だけは何者にも折られることはないし、自分の選んだ選択は、間違っているとは思わない。
そう、俺の正義は間違っていない。
蹴落として、血反吐を吐こうが、昇りつめたものが持つものこそが栄光なんだから。


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