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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

400 ◆yPCidWtUuM:2006/03/03(金) 23:36:29

[バカルディ・151プルーフ<5>(side:三村)]


…床の土拭いとくかって。

まあそりゃ拭いとくけどよ。
嫁さん帰ってくる前に綺麗にしとかないと、警察とか呼ばれたら困るし。
でも大竹お前、そういうんじゃないだろ? 何でそんな辛そうなツラすんだよ。

雑巾をとりだして水に浸しながら、もう一度相方に問いかけてみる。


「なあ、アレか、お前何かわかったとか?」
「…」
「おい、大竹…」
「とにかくコレ拭き終わるまで待っとけよ」
「…」
「めんどくせぇけど、頭ん中まとめってから、今」


少し苦い笑顔で大竹は雑巾を受けとり、床を拭きだす。
こいつがそう言うなら、俺は待つだけだ。

黙ってフローリングに散った土を拭きとっていく。
自分が被害者なのに、犯人の残した証拠を消しているように感じて、少し気が滅入った。
それでも自分の家族の平穏のためには、侵入者の形跡を残しておくわけにはいかないのだ。

守るべき大切なものを持って闘いに身を投じるのは結構辛い。
それでもこの世界からトンズラする気がないなら、やるしかない。
キュッと唇をひき結んで作った真剣な顔は多分、大竹には見えていないだろう。

汚れた床をこする手に、知らず知らず力が入る。
おろしてからそう日も経っていない雑巾はまだ白かったが、土がそれを黒く染めていった。

玄関まで全て綺麗にして、洗った雑巾を干す。
すえた匂いの移ってしまった手をゆすぎながら、大竹が話すのを待った。


「なあ三村」


俺に何かを伝えるための言葉が、大竹の口からやっと出る。
無言で続きを促すと、予想外の言葉が耳に飛び込んできて、唖然とした。


「…黒、入ったほうがいいかもしんねぇぞ」


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