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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
38
:
異空間少女
◆aleAeip0JM
:2005/06/15(水) 17:09:41
プレゼントを出したことはあっても、貰ったことは殆どない男から高そうなネ
ックレスを貰った。
『…お前にやるわ。アメジストって石使っとるんやで。』
『…なぁ。…これ、加工費のほうが高かったやろ?』
『まぁ。そうやな。』
徳井は高価なそれをラッピングしたまま、福田に押し付けた。
今も渡す相手が居らず、ラッピングも剥がしていないそれは、薄く埃をかぶっ
ている。
「……あかん、切れ味悪すぎ」
福田はすっかり切れ味の落ちた包丁と、ぺちゃりと潰れたトマトの切り口を交
互に見つめている。
「…小皿の糸じり使うか。」
男一人暮らしな福田にとって、砥石などの気の利いたものがあるはずもなく、
いつぞや聞いた知識を使ってみることにした。
「…ふう。」
こんな時ネックレスを渡すような彼女などが居たら、などと考えてみる。
いつもはこんな考えをすることはない。
ただ、『芸人』でなくとも女から寄ってくるような男とずっと一緒に居る、そ
んなことをふと考えて少し弱気になった。
…不意にがしゃんと大きな音がして、ぷい、とその方向に首を回す。
「!!」
無残にもガラスはすべて割れ、破片が飛んで福田の足下にも散らばっている
。
「…」
福田はその光景を見つめたあと、硝子の上を素足で踏み歩いた。
足には破片が入り込み、歩いた硝子の上は血どろみになったが、不思議と
痛みは感じていなかった。
割れた硝子の窓の間を通って外を出ていく。
そのとき、まだ石は光っていない。
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