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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

376 ◆vGygSyUEuw:2006/02/27(月) 18:05:48
ハローさんの話。添削お願いします。


手の中に、つるりとした固形状の感触がある。
なめらかで冷たくて無機質なような有機質なような、そういう触感だ。
つい先日手に入れたものだ。欲しくもなかったが。
それが高価なのも、最近知った。
そして、何かしらの力を秘めていること…は、大体勘付いていたか。
ともかく、どちらかといわずとも歓迎できない部類の贈り物だ。もっとも突っ返そうにも送り主は不明なのだが。
ため息をつきかけて、ふと頭に浮かんだ迷信にそれを躊躇し、結局飲み込んだ。
信じてはいない。けれど、皆不意に出て来ることはあるだろう。
北に枕を置くと駄目だとか、夕暮れ時は魔物が出る、だとか。
方便としての活用だけで、毒にも薬にもならない、いわゆるそういうものだ。
右手を開く。待ち構える左手にすとんと収まる。自然な落下だ。
どうやらこういう不可思議な石も引力や重力に逆らうことはないらしい。
白、というかごく薄いクリーム色の、硬質なもの。
石にも大きめの飴玉のようにも見えるが、これは象の牙だ。
つまり、今この手中にあるものの後ろには、一頭の象の死がある。
それだけならまだしも、と思い、一呼吸置く。
「…厄介な。」
それだけ一言つぶやく。後を追うように息が出て行き、はたと苦笑する。
ため息は幸せを一口分連れて逃げ、うっすらと白く消えた。

しかし、この寒い中屋外で人を待つのも辛いものだ。
電柱に寄り添うようにして往来に突っ立っていると不審人物に間違われないかと心配なのだが、幸い人通りも少ない。
二十分ほどここにいるが、その間犬を連れた爺さんが一人通っただけだ。
見回すとすぐそばに喫茶店が見えたが、そこでぬくぬく待っていたら怒られそうな気がする。待ち合わせるならもっと時節も考えてほしい、とひとりごちた。
手持ち無沙汰となり、何の気なしに象牙をつまみあげて観察する。
簡素な白は、ただ磨かれただけで少々寂しい。
判子にでもしてしまうか、と思ったが、ふと考える。これは戦闘用だ。
ハンコ片手に戦う。…滑稽だ。いや、芸人たるもの面白くないよりは面白い方がいいのだが、下手を打てば死ぬような場面で無理して笑いを取るのもどうかと思う。
「山崎」と彫ろうと「ハロー」と彫ろうと、馬鹿馬鹿しいことにあまり変わりはない。
第一、割と芸風と違う。


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