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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

353小説作成依頼スレ62-65:2006/02/18(土) 09:11:53
「篠宮?」
聞きなれた声に眼を開けると、心配そうに覗き込む高松が立っていた。
「こんなところで何してん。風邪でも引いたらしゃれにならんで」
ほら、と差し出された右手に、自分の右手を出す。
「ん」
「何や」
「篠宮、そんな指輪、しとった?」
言われてから自分の右手の人差し指にはめられた指輪を眺めた。緑の石に、それを覆うように装飾された、黒のリング。
その造りのよさになんだか笑いそうになるのを堪えながら、篠宮は立ち上がった。
「してたわ。つか、そないなとこいちいちチェックすんなや」
「見えたから言うただけやろ」
苦笑する相手を見ながら、妙にはっきりする意識を張り巡らせた。…なかなか、悪くない。
「せや」
部屋を出て行こうとした高松が振り返り、まるで悪戯をしかけた子供のような笑顔で篠宮を見た。一度辺りを見回し、そそくさと相手に近づくと、耳元で囁く。
「俺、聞いてもうたんやけど…どうやら、アメザリさん達、『白』らしいで」
『白』という言葉に体の神経が張り付くのがわかった。そして同時に噴出すような闇色の憎悪。
「おまえの石も、なんや正義っぽいような意味やったやん?せやからな、多分、俺のもそっち寄りちゃうかなーて」
へらへらと笑う相方にあわせ愛想笑いをすれば、自身の指に光る緑の石が鈍く光るのを感じた。
(壊せ)
(奪え)
(白などすべて)
口に出してしまいたい衝動にかられながら篠宮は笑った。
「せやな。俺らも『白』として頑張れるようにならんと」
嘲笑するように光る指輪を押さえながら、出来るだけ丁寧に、出来るだけ正確に『白』の自分を演じてみせた。
『黒』の中で押さえ込まれた自我に、誰も気づかないうちに、すべてを『壊す』そのときまで。

今は。


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