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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

352小説作成依頼スレ62-65:2006/02/18(土) 09:11:08
添削続きですが見て頂けると幸いです。




篠宮は息を吐いた。右手に持つ緑の石が、低く唸る。中心には黒い筋。
「やってもうた」脳裏によぎる言葉が空しく頭に残る。
息を吸うたびにじわじわと毒素が回るようにその石に眼を奪われ、それに比例するように脈拍は乱れた。これが…黒の欠片の力か。

数日前、東京の撮影の合間。現場に光る石を見つけた篠宮は、導かれるようにそれを手にしていた。
相方の高松に見せれば、「きれいな石やなぁ」なんてノンネイティブな発音で微笑まれた。
手にしたときに、なんとなくわかっていたのだ。これが噂に聞く、『力を持つ石』なのだと。
先輩や周りから噂は耳にしていて、それなりの情報は得ていたつもりだった。だったのだ。
手にした自分の石が、黒に飲まれる前までは。

きっかけは単純すぎて笑えないもの。「もっと露出を」ただ、それだけだったのだ。
触れれば崩れてしまうような脆さをもつ石−フィロモープライトというらしい−は、その自ら放つ緑の中に、闇色の光を見せ付けていた。
気づいたのが遅かった。
情報はいくらでも頭にあったのに。
いや、むしろ。
自分が思い描いたように、自分の憧れのあの戦隊物のヒーローになれるのだと、
無意識に信じて疑わなかったのに。

「ちっく、しょ…」
フィロモープライトを持つ手は、まるで金縛りにあったかのように開くことはできず、握りこんだその石に、だんだんと思考を侵されていく。
ー奪え。
ーー壊せ。
ーーー殺せ。
考えたくない思考に篠宮は激しく頭を振ると、その手を離す事に集中した。
左手で押さえ、指をはずそうと…しかしまるでもともとの形であったかのように、その指は動くことはなく、逆にかざした左手からも生気を奪われる感覚に恐ろしくなり、勢いよく手を引く。
ふいに視界が明るくなり、意識は遠のいた。


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