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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

335 ◆LHkv7KNmOw:2006/02/11(土) 00:21:38
その懐で、自らの石のものと思われる光が、きらりと漏れたのを、
蛍原は見逃さなかった。
「あ、あいつ!俺の石持っとる!」
声を張り上げると、そのスタッフは蛍原に気付いたのか、
顔を見るなり血相を変えて逃げ出した。

「決定的、やな」
「追いかけましょう!」
いつの間にか立ち上がっている宮迫と、山口が走り出す。
おーい!と一声。
蛍原もようやく起きあがり、ばたばたと後を追っていった。


距離は一向に縮まらない。
自分たちよりはるかに若いスタッフは、軽い身のこなしで廊下を駆け抜けていった。
三十代後半に差し掛かった雨上がりの二人や、体の大きな山口はなかなか追いつくことが出来ない。
(やばっ、逃げられる…!)
そんな思いが頭を過ぎった、その時―――

あっ、とスタッフが声を上げた。
前から歩いてきたのは、ガレッジセールのゴリこと照屋俊之と、相方の川田。
こちらも山口と同じコント用の派手な服とメイクだった。
全速力とも言えるスピードで走ってくる宮迫たちに驚いた二人は立ち止まり、
何だ何だ?と壁際に避けた。

「ゴリ、川田!そいつっ、そいつ捕まえろ!」
宮迫は二人に向け大声で叫んだ。
「はい?」
「そいつ通すな言うてんねん!」
そいつ、とは。
今こっちに走ってきているスタッフの事だろうか。
訳が分からないが、先程の必死な声を聞くとただ事ではなさそうだ。

「……おりゃあっ!」
本能的だろうか。
ピンクのひらひらのミニスカートをなびかせながら照屋が助走を付け、飛んだ。
照屋の華麗なドロップキックを見事に食らった男は、
廊下を二メートルほど転げ、動かなくなった。


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