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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

334 ◆LHkv7KNmOw:2006/02/11(土) 00:18:22
誰かが蛍原の携帯を盗み、石だけを引きちぎって携帯の本体はトイレに置いていった。
と思って良いだろう。


「じゃあ蛍原、この近くに自分の石の気配は感じんか?」
その言葉に応えるため蛍原は固く目を閉じ、う〜ん、と集中し始める。
宮迫も山口も息を殺して、瞬きもせずに目を凝らした。
不意に、蛍原が「んっ?」と上ずった声を上げた。
目を閉じたままキョロキョロと小動物のように辺りを見渡す。
その動きに合わせて二人の目も動く。
「…ん〜?」
眉を寄せて、ゆっくりとした歩調で歩き出した。

「宮迫さ…」「しっ、」
静かに、と口元に人差し指を当てる。
身体は微動だにせず、首から上を動かして目線で蛍原を追った。
相変わらず蛍原は唸りながら少しだけ上体を屈めて歩いている。
目を瞑っているからゴミ箱に足を引っ掛け、壁に頭をぶつけたりしていた。
その度に宮迫と山口は目を細めた。

蛍原が曲がり角に差し掛かり、二人の視界から消えた。
顔を見合わし無言の合図をする。
慌ててその後を追いかけた。

どんっ

「うおっ」「あだっ」「わあっ」
丁度曲がりきった所で、三者三様の短い悲鳴が上がった。
角を曲がって直ぐの所で立ち止まっていた蛍原の背中に、勢いよく走ってきた宮迫が、
更にその後ろに芸人にしてはがっしりした体型の山口が立て続けにぶつかったものだから、
一番前の蛍原は吹っ飛ばされるように前方に転んだ。
その上に宮迫が重なって倒れ込む。
下で「うぐっ」、とくぐもった声が聞こえた。

「痛ったい!何すんねん!」
「や、やかましいわ。もっと前におる思ったんや!」
蛍原の頭に強かに打ち付けた顎をさすりながら、宮迫が怒鳴る。
「どうしてこんな所で?」
全くダメージのない山口は二人の前にしゃがみ込み、冷静に尋ねた。
その言葉にはっと我に返り、蛍原が言った。
「そ、そう。向こう!向こうの方から俺の石の気配が…!」
未だ宮迫の下敷きになったまま、前方を指差す。
三人の視線が同じ方に向けられた。
廊下の向こう側で、スタッフと思われる男が歩いているのが見えた。


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