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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

319名無しさん:2006/02/03(金) 19:14:28
“オトナの魅力”が漂う、東京ダイナマイトの松田は「よっこらしょ」と中田の上体を持ち上げる。
意識がある時と比べ、気絶した人間の身体は何倍も重く感じる。
成人男性の全体重がのしかかってくるものだから、壁にもたれかかせるだけでもさすがに骨が折れた。

「お前は、こいつと敵対したく無いんだろ?」
もちろん、と藤森が素直に即答する。
ふう、と一息吐き、松田が小さな黒い破片を取り出した。
「これ使えよ。そうすればこいつはずっとお前の味方だ。」
「本当ですか?やった!」
嬉々として破片を受け取る。
お子様のように笑う藤森に対し、松田の表情は相変わらず複雑なままで。

さっそく藤森はなんとか頑張って中田の口に破片を押し込む。
固形から液体へ変わった破片は勝手に喉の奥へ入り込んでいった。
相方を操ることに抵抗は無いのか?と半ばあきれ顔で松田が眉を顰めるも、口には出さなかった。
取りあえず、よかったな、とだけ言ってやった。

特に藤森は悪いことをしようとは思っていない。面白そうだからという単純な理由で黒に入っただけだ。
彼らの若さ故の過ちとでも思っておこう。松田は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
その前に一つ、藤森に言っておきたい事があった。

「慎吾、お前、自分の力を過信しすぎるなよ?」

「…はい?」
「あー、何でもねえよ。…またな。」
二回言うのも面倒くさい。松田は欠伸をしながら適当にはぐらかし、藤森と別れた。



携帯の着信が乾燥した夜の空気に良く響いた。
「どうしたー二郎ちゃん。……何?任務?…そんなの明日だ明日。」
どうやら『裏のお仕事』の命令らしい。
話を聞いたところ、白の芸人の石を奪うという、いつもの命令だった。
別に今日じゃなくても良い。松田は携帯を閉じ、う〜ん、と背伸びをしながら帰路についた。

藤森と中田のことは出来るだけ考えないように、鼻歌など歌いながら。


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