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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

305 ◆TCAnOk2vJU:2006/02/01(水) 21:28:40
 とある土曜日、チュートリアルの二人は関西ローカル番組「せやねん!」の収録のた
め、朝早く、収録の二時間前から楽屋入りしていた。
 何故二時間も前に来たかというと、この間の土曜日の収録で二人揃って遅刻してしま
い、他の出演者たちに怒られたためである。もちろん、この時間に楽屋入りというのは普
通の感覚で言えば早すぎるので、他のメンバーはまだ一人も来ていない。
 自分たちの楽屋でめいめい好きなことをしてくつろぎながら、二人は同時にあくびをし
た。
「やっぱり、いくらなんでも早すぎたかなぁ」
「そやな。まだ誰もおらへんしな」
 福田のため息混じりの言葉に答えながら、徳井はいつものようにズボンのポケットに入

れている自分の石を取り出した。徳井の持つ石はプリナイトと呼ばれるもの。その透き
通ったグリーンの色は、果物のマスカットを連想させる。つい先日徳井はこの石を手に入
れ、能力に目覚めたのであった。部屋の光に透かして石を眺めている徳井を見て、福田は
再びあきれたようにため息をついた。
「ほんまに好きやな、その石」
「はは、そう見えるか」
 徳井は笑いながらそう返し、手に持った石をもてあそび始めた。
 福田はそれをしばらく見つめていたが、自分の鞄の中をごそごそとやりだし、自分も徳
井が持つのと同じような石を取り出した。色は徳井と同じグリーンだが、白いふが入って
いてまろやかな肌触りを持つ石である。徳井は福田が石を取り出したのを見て、お、と
言った。
「お前の石な、どんな石かわかったで」
 え、と言う福田に、徳井は言葉を続けた。徳井はインターネットを駆使して、自分の石
や福田の石のことも調べてきたらしい。
「名前はヴァリサイト。物事を冷静に見つめる助けを促すて書いてあった。まあお前には
ピッタリの石なんちゃうか?」
「どういう意味やねん。俺、そんなに冷静でないように見えるんか」
「たまにテンパってる。ツッコミやのにな」
 徳井がそう言って笑うと、福田はうるさいなぁ、と言いながら、さほど不快ではない様
子だった。こういうやりとりは二人の間では日常のことである。幼なじみだから、遠慮な
くこういうことが言い合えるというのもある。そんなやりとりを終えた後、福田は自分の
石に視線を落とした。


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