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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

172[タイトル未定−1] ◆yPCidWtUuM:2005/11/18(金) 03:50:20
自分が石を手にした瞬間は特に何も思わなかったのだが、楽屋で井上が金色の塊を見せてきたとき、
そしてその石が自分のものと同じように、奇妙な経緯で井上のもとにやってきたと知ったとき、
河本はふとあることに思い当たった。最近芸人の間で石を持つことが流行っている、というのを
どこかで耳にした覚えがある。その石には何か力があるとか、それで何か一部でもめてるとか、そんな話も。
超常現象の類はあまり信じない質だったので、その話を聞いたときは石の力なんて随分うさんくさい、
と思った程度で特別気にしていなかったのだが、あれはひょっとして、この石と関係があるんだろうか。


「聡、変な石の話って知っとる?芸人の間で流行っとるとかいう…」
「あ、何か変な力がどうとかの…」
「そうや」
「詳しいことはよう知らんけど、聞いたことある」
「なあ、この石ってひょっとしてそれと関係あるんちゃう?」
「これが?」
「おかしいやろ、いきなりこんな偶然、俺らんとこ来るなんて」
「んー…そやね」


井上は何か考え込むように、指先で小さな金色の塊をもてあそんでいる。
河本から見てその欠片の色は、メッキされた金属の放つ金色や、何かが着色されて光る金色ではなく、
金という鉱物がもつ本来の色であるように感じられた。


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