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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

158 ◆8zwe.JH0k.:2005/10/24(月) 21:02:55
>>151から

「あべさん…!」
「挨拶もなしに急に居なくなるもんだからさぁ、あははっいやー探しに来てよかったよーホントねぇ」
ひらひらと手を振る阿部は格好付けたように眉を顰め、何とも綺麗な早口でまくし立てる。
「ほら、逃げっから降りといで」
佐久間はその言葉にたちまち笑顔になった。はいっ!と元気よく返事をし、屋根からダイブする。固い地面に頭から落ちていくような体勢に、二人組はわっ、と短い悲鳴を上げて届かない制止の手を伸ばす。
地面に激突する寸前、佐久間は手を前に突き出す。柔らかな光に照らされ、ふかふかのクッション状になった土は落ちてくる身体の衝撃を優しく吸収する。
屋根の上から二人が見下ろしているのが見えた。え〜、とかすっげえ〜、とか若者らしい率直で素直な感想を述べている。
「うわ、さっくんすげー鼻血…!」
え?と手の甲で鼻の周りを触ってみると生暖かい真っ赤な液体がまとわりついた。阿部が言うには、顔半分がその血で染まってまるでスプラッター映画のようらしい。
近くで風船を割られたような、そんな衝撃が強く、痛みというものはあまり感じなかった。だから大したことはないと思っていたが、阿部の引きぎみな表情を伺う限り今の自分は、よっぽど見るに堪えない酷い顔なんだろうなぁ。と佐久間は思った。
「大丈夫ですよー。ね?ほら、骨は折れてないみたいですし」
「ほ、骨…」
目眩を起こしそうになっている阿部を尻目に、ポケットからウェットティッシュを取り出して顔をごしごしと擦る。
血を拭き取りすっきりした顔を見せてやると、阿部もほっとした表情を浮かべた。


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